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藤原和博さん
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お帰りなさいと言われない子が7割
- 佐々木
ちょっと話は変わりますが、今、働く女性が増えていていると、私なども早くても帰宅は6時とか7時でしょ。子どもの家庭教育は、別に女性だけの責任ではないですから、お父さんの参加や、おじさんやおばさんの参加も含めて、そして地域の参加もなんですが、いろんな影響が出ているわけですよね。
- 藤原
もちろん出てる。一番出るのはね、お父さんが、お母さん任せにしちゃったとき。たとえば障害というのは、一番極端な例ですけど、子どもにそういった問題があるときに、どうしてもお父さんは関わりたくない感じになっちゃって、お母さんに押しつけちゃう。そうするとお母さんはパニックになりますよね。それでお母さんの精神的なバランスが崩れて、それがその子にさらに影響する、というのがね、非常に多いよ。
- 佐々木
それは働く女性とは関係なく、子育てに父親が参加しないケースということですね。
- 藤原
そう。お父さんがそうやってお母さんに押しつけているケースで発生率が非常に高いと思う。実感として。 どちらにしても、放課後、3時半とか4時に家に帰って「お帰りなさい」と言われない子が7割にのぼってるね。だからそういう前提で、そういう社会だという前提で、物を考えないとならない。 フィンランドなんかはどうしているかというと、フィンランドは3時半ぐらいに学校が終わると、全部いったん、地域に帰るわけですよね。そこで彼らを待ち受けるのは地域活動なんですよね。地域社会における有償ボランティアだったり、地域で働いている人たちが受け入れる。スポーツクラブだったり、バイオリンだとかピアノだとか、そうやって地域で全部受け入れる。それで5時、6時ぐらいには、お父さん、お母さんが全部帰ってきているわけ。ワークシェアリングが徹底的に行われているからね。で、一緒に飯を食って、それから夜のアクティビティーはまた地域でやる。だから学校の先生は、3時半以降は全然関係しないわけだよね。 もうちょっと詳しく言うと、学校の先生は、今度は自分の住んでいる地域の側で呼ばれて、夜の講師をやったりもしてるらしい。そこはダブルでインカムがあってもいいことになっているんだけど。
じゃあ、日本でもそういう社会にしましょうよって言ったって無理だと思うんだよね。みんなで5時に帰りましょうよって言っても無理。それから地域でスポーツクラブか何かを用意して、全部そっちに任せちゃいましょうと言うのも無理だと思う。そこに税金を過剰に落とすことも無理でしょうから。
だから僕は現実的な策としては、和田中がやった「地域本部」というのを学内に創設して、協力できる人1割から3割で、そうした子どもたちを家に帰さないで、なるたけ、学校に留め置いてスポーツや文化活動をやらせる。もちろん、宿題をやらせてもいいし、補習や「夜スペ」のような経済的な私塾もね。
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