ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第101回 渋谷 和宏さん

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渋谷 和宏さん
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表紙は、僕が決めています
- 渋谷
組織のリーダーになったのは日経ビジネスアソシエの編集長が初めてです。日経ビジネスでは副編集長として特集チームをまとめたりしていましたが、雑誌全体のリーダーになるのと、雑誌のある部分をディレクションするのとでは違いますね。求められるコミュニケーションスキルのレベルも一段高いのではないかと思っています。
- 佐々木
企画に関して、ご自身の思うことやひらめきが、その通りに行くとも限らないですよね。
- 渋谷
限らないですね。これをぜひやってほしいとトップダウンで企画した特集にしても、取材・執筆を担当するのは編集部員たちだし、誌面作りを直接ディレクションするのは副編集長ですよね。ですから特集の出来映えはゲラが上がってくるまでは完全にはわかりません。ですので、いざゲラを読んで「うわあ、これはダメだ」と目の前が真っ暗になったことが創刊1、2年目には何度かありましたね。そういう時には「こことここを直してほしい」と具体的に指示しましたが、それとて限界があるので、「今回はここまでかな」と諦めたことも正直、何度かありました。
- 佐々木
私はどちらかというと、我慢強いと思うんです。でも一方で、我慢しながら、自分では優しく教えているつもり、結構ヒントもあげたつもり、十分待ったつもり。それでもダメだと思うと、「もう、いい」って怒ってしまったり、あきらめてしまったり、「もう、私がやる」みたいになってしまう所があって、全く修行が足りないんです。渋谷さんは、どうなさっているんですか?
- 渋谷
いや、僕も一緒です。怒らないようにしようと自分に言い聞かせつつ、目は三角につり上がってしまったりして(笑)。
- 佐々木
でも、今日、こうしてお話をしていると、すごく温和でいらっしゃるので、「あまり怒りません」なんて小さな声で言われると、私、本当に、どうしたことかと思って(笑)。
- 渋谷
いや……きつく言ってしまったこともあると思いますよ。僕としては怒っているつもりではなくても、編集部員にしてみると「目が怒っていた」なんてこともあったんじゃないでしょうか。
- 佐々木
以前「国際女性ビジネス会議」でご講演いただいたとき、表紙は自分が決めていると仰ってましたよね。
- 渋谷
ええ、表紙に掲載するタイトルはすべて僕自身が考えていますし、どんなビジュアルでいくかという最終判断も僕が下しています。後悔したくないし、雑誌の顔である表紙を決めるのは編集長としての最も大切な仕事の一つだと思っているんです。
それからアソシエの動物をモチーフにした表紙、これはもう完全に僕の趣味です(笑)。実は月刊誌だった2002年に1度、犬のダルメシアンを表紙に登場させたことがあるんですよ。動物が表紙のビジネス誌なんて前代未聞なのでぜひやりたいと僕が言い出して、ダルメシアンに100ドル札をくわえさせ、スタジオで撮影して……。結果は大方の予想を裏切って(笑)、けっこう評判が良かったんです。そこで月刊から月2回刊に刊行頻度を上げてしばらく経った2003年の秋に、これからは動物でいこうと決めました。
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