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第4回 カオリ・ナラ・ターナーさん
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自分を押し通すほうがビッグになる? |
進藤 |
腹が立ったこと、こんにゃろうと思ったことは? |
カオリ |
うーん、仕事場ではないですよ。アメリカ人、やさしいんですよ。みんな。 |
進藤 |
仕事環境は言うことなし、ですか。 |
カオリ |
最高ですね。だって、“That's
my business” お互い自分のことだけだから。人がミステイクしようが遅れてこようが関係ないの。日本みたいに「どうしたのよ!」ってない。なおかつ、私が「ちょっと失敗したんだ」なんて言うと、“just
movie”って。 |
進藤 |
そう言われるとホッとしたり?
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カオリ |
ものすごい慰められる。まず、いじめがないし、羨むってこともないし。 |
進藤 |
足を引っ張りあうような意地悪も……? |
カオリ |
ない。絶対ない。 |
進藤 |
ものすごい競争の世界でしょうに。絶対ないなんて意外。 |
カオリ |
ノーノー。それぞれが自分の仕事に誇りをもって、自分できちっとしてるから。 |
進藤 |
真のプロ意識、なんでしょうか? |
カオリ |
そうだと思う。国民意識としてもそういうのがあるんじゃない。たとえば、ション・コネリーが『007』にジェイムズ・ボンドとして出て、その後いろんな人がジェイムズ・ボンドをやるじゃない。若い人が出た時に、「どう思う? 妬かない?」って聞いたの。そうしたら、「彼は彼だし、僕は僕だよ。彼がどんなにがんばっても僕にはなれないし、僕は彼にはなれない」って。 |
進藤 |
自分に自信があるからこそ、周囲の力も認められる。アイツを蹴落とさないと……、なんていうネガティブなカンジではないんですね。 |
カオリ |
ないですね。自分を磨こうと思うわけ。だから、勉強してますよ。1本終わるでしょ。そうすると、演技の学校また行くし。 |
進藤 |
一流のスターたちがですか? |
カオリ |
ええ。先生を呼んでレッスンしたり、体鍛えたり、もう次のステップのことを考えてますよ。 |
進藤 |
どんどん自分の能力を活かして、大きくはばたいていく人たちをたくさんご覧になってこられたわけですね。そのみなさんに、何か共通項はありますか? |
カオリ |
「絶対これはスターになる!」と私が思ってる人は誰もならない(笑)。私、目がないのかもね。「まさか!」と思う人がみんななってるんだもん。ブルース・ウィリスやジョージ・クルーニと仕事をして、この顔じゃダメだわ、と思ってたら大物になっちゃったし(笑)。 |
進藤 |
では逆に「絶対この人はスターになるだろう」と思われたのはどういうタイプだったんですか? |
カオリ |
単に自分の趣味だったのかもしれないですね(笑)。ただ、ふりかえって思うと、なんでもかんでもできちゃう人ってビッグになってないね。器用で人に気を遣ったりという人はあまりなってない。 |
進藤 |
自分を押し通すほうがビッグになる? |
カオリ |
そう言われればそうですね。いい意味のわがまま? なんでも「いいよ」っていう人はやっぱりダメなのかな。 |
進藤 |
うーむ。「いい意味のわがまま」って難しいですね。 |
カオリ |
役を与えられる時に、「いいよいいよ」でなんでも引き受けるんじゃなくて、「それは僕の役じゃないから」って言える人かな。 |
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