
一度なくしたものは(songae・東京)
契約農家の方から、現在農業の「工業化」が進んでおり大手企業などの管理の農薬使用野菜が主流の方向で政策が進んでいるといわれました。また自然派の八百屋で取り扱っている無農薬有機で作っているお米も、現在は規格外ということでその表示が出来ない現実。食育も、「安全な食物確保」の知識から教育してほしいです。契約農家の方が一番心配していたのは、一度なくした土壌は二度と取り戻せないということです。近い形にするには50年、100年かかるだろうと予測されていました。
よく考えて食べること(あらうそほんと・長崎・パートナー有・42歳)
私は社員食堂の管理栄養士です。カフェテリア方式の食堂なのですが、20代くらいの皆さんの食事の選択にとても疑問をもっています。海老天丼+コロッケだったり、うどん+丼ごはんだったりというお客さまも多いです。当然、野菜たっぷりの副菜(たとえば、小松菜としめじのおひたし、ひじきとオクラのとろろ和えなど)は閉店時間まで残ってしまいます。一方で、生活習慣病予備軍のお客さまも多くそういった方々のための低脂肪低カロリーのメニュー開発も大変です。小学校で栄養士として働いていた頃は、ことあるごとに「何をどれだけ食べたらよいか」について子どもたちに話をしてきました。そういう教えがまったく身についていない人たちばかりのようで、かなりつらいです。食育は子どもの時だけではなく、いくつになっても取り組むべきものだと思います。児童生徒向けの栄養教諭の設置のみにとどまらず、大人に向けていかに「よく考えて食べること」の大切さををアピールできるかが、ポイントだと考えます。
食が貧しいと(みあい・愛知・パートナー無・27歳)
法律を作ればすべて解決するわけではないですが、いま日本人がおろそかにしている「食」を見直すきっかけになるといいなと思っています。期待することとしては、やはりスローフードと学校給食の改善だと思います。日本の給食の内容はお粗末で海外の先進国から見ると驚かれるそうです。先割れスプーンでアルミの食器を使って自国の料理を食べていないという現状を変えていただきたい。食生活の基本は子どもの頃についてしまうので特に子どもに教育をしていって欲しいです。キレる子が多いのも食が乏しいからだとも言われています。そして我々大人も自分の食生活を見直す必要があると思います。

無理なく浸透させる環境が必要(もりぴぃ・埼玉・パートナー有)
法案の冒頭に「社会経済情勢がめまぐるしく変化し、日々忙しい生活を送る中で、人々は、毎日の『食』の大切さを忘れがちである。」とありますが、本当にその通りです。毎日の食事を振り返ってみれば、燃料を体に詰め込む、に近い感覚になってしまっています。全ては自然界からの恵みであることが実感できるような畑仕事の体験などは、とても良いと思います。ただ、実際にはやはり毎日のことですので、毎日手間ひまかけて作るという時間はないのが現状で、そこを捕らえておかないと長続きしないと思います。そのためには、毎日の生活の中に無理なく浸透していく環境が必要だと感じます。新鮮で良質な食材や惣菜を宅配してくれる業者がもっと増えたり、冷凍ものを解凍して提供するようなレストランではなく、良い素材からきちんと作ってくれ、栄養バランスも考えたメニューを用意してくれている定食屋さんなどが増えて、気軽に安く使えるといいと思います。
文化の伝承(samin・東京・パートナー無・41歳)
米国留学で痛感したのは、意識していなくても底に流れている文化がいかに重要かということでした。日本では食生活が変化しているとはいえ、多くがご飯と味噌汁、それに魚や野菜という家庭的な和食を知って育ってきて、無意識のうちにバランスが取れている部分もあるかと感じます。一方世界各国からやってきた人たちの集まりである米国では、自分が根を下ろす文化というものがないと思います。たとえば1/4だけドイツの血が入っている家庭では、その血をとても大切にしてドイツ料理が食を考えるときの基本になっていました。長い歴史を生き抜いてきた料理の真髄は、しっかりと流れています。しかしそのような文化を家庭内で伝承してこなかった家では、マイクロウェーブでチーズマカロニをチンするだけ……。バランスに対する感覚がないように思いました。家庭内での経験は非常に重要であり、そういう意味では無意識に行えない人も増えてくる(きた)現在、食を再認識する意味は大きいと思います。
根本的な教育を(syura・神奈川・パートナー有・43歳)
「私は何でできているの?」と子どもに聞かれると「毎日食べてるものでできているのよ」と答えます。鶏を丸で購入してきて料理したり、烏賊などはさばき方を教えたりしています。実のなる木を植えたり、玄米をまいて芽を出させ育てたりもします。私たちが食べているものは、いつも貴重な命なのだということを子どもたちにも分かってもらいたい、と考えています。食べ物に関する教育をするのならば、そういう根本的なことから教えていければ嬉しいと思います。また、インスタントな食べ物は、本物の味を教えてから食べさせたいと考えています。ニンジン嫌いな子どもは多いようですが、無農薬の旬の生の人参をスティックに切ってだせば、どの子もお菓子のようにぽりぽり食べてます。本物を知らずにインスタントのものの味を先に覚えると味覚が狂うのではないでしょうか? また、家庭料理の技術的な差が、現代はとても大きいと思います。家庭料理と言う文化は、ちゃんと継承されているのか、などと考えてしまいます。