門松はお正月らしい雰囲気を高めていいなと思う心は多くの人にあるようですが、現実にはどんどん減っています。前回多かった住居形態の変化に加えて、いくつかすたれた理由についての意見がありました。(ricosmile)さんは、門松は「大晦日お正月限定という短期間で、時代に合わないような気がします。」と、期間の短さが飾る気を失わせる一因としています。
(dokinchn)さんは買ったあとの処分に言及しています。お正月の飾りを焼く「どんど焼き」が減った理由のひとつがダイオキシン問題なので、現代は飾り物もついあとの処分を考えてしまうということでしょう。
しかし、他方でクリスマス・ツリーが盛んになってきたことを考えると、これらはいずれも決定的な理由には思えません。たとえば飾る期間の短さで言えば、クリスマス・ツリーは確かに長く飾りますが、これはだんだんそうなってきたわけです。ではなぜ門松ももっと早くから飾るようにならなかったのでしょうか。日本人の信仰心のあり方に変化が生じたのでしょうか?
門松は歳神を迎えるという説があります。一方、クリスマスと言えば、連想されるのはサンタクロース。サンタクロースは誰でも知っています。でも歳神なんて初めて聞いたという人もいるでしょう。伝統的な信仰・習俗を外来の習俗が駆逐し、門松も飾られなくなったという考え方も成り立ちます。
「時代にあわない」とか、(Aska)さんのように、文化は変わるもので、新しいことを取り入れることも大切という意見があります。でもなぜ文化のあり方が変わったのでしょうか? 歳神への信仰が消えうせ、サンタクロースの話が親しまれるようになったのはどうしてでしょう。少し視野を広げて考えてみましょう。
井上順孝 國學院大学教授 |
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