
歌姫として、一人の女性として生きたマリア・カラスのドラマ
映画『永遠のマリア・カラス』
歌に生き、恋に生きた、20世紀最高の歌姫(ディーヴァ)、マリア・カラス。声を失くしたカラスの復活に隠された情熱と感動のドラマを、カラスの長年の盟友で、オペラ演出家でもあるイタリアの巨匠フランコ・ゼフィレッリ監督が描きだしました。
最愛のオナシス海運王とのスキャンダルや、全盛期には直接的に触れることはなく、生きる情熱と、かつてのプライドを取り戻していく姿を、フィクションではあっても「リアルな幻影」としてスクリーンに蘇らせています。
カラスがあれほどの美声を人々に与えるために、どれだけの代償を払ってきたのか。その苦悩がひしひしと伝わってきます。プライドを持つことの大切さ、プロフェッショナル意識、強く生きていくことなど、新しい生き方を捜し求める現代の女性たちへも強いメッセージが伝わってきます。
また、「普通の女であれば幸せだったのに」というセリフには、一人の女性としての素直な心情が吐露されています。カラスの人間性も伝わってくる映画です。
劇中劇として展開する「カルメン」の場面は圧巻。カラスが憑依しているのでは、と思わせるファニー・アルダンの渾身の演技と、カラスの全盛期の歌声が見事なハーモニーを奏でています。カール・ラガーフェルドのデザインによる、20点近いシャネルの衣装、そのエレガントな着こなしも、一見の価値あり、です。
観終わった後、じわりじわりと静かに心に響いてくる映画です。オペラファンのみならず、世代を問わず、全ての人々が、カラスの生き方、歌声に焦点を当てる絶好の機会でしょう。耳に残るマリア・カラスの歌声に、改めてじっくりと触れてみたいと深く感じました。
●上映映画館
上映映画館情報
『永遠のマリア・カラス』サントラ盤
TOCE-55470
2,000円(税込)
詳細
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