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伊藤元重さん
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これからのプランは……
- 佐々木
伊藤先生とは、松下電器のアドバイザリーボードでご一緒しましたが、そのほかもさまざまな企業のトップの方々への助言の機会も多いことと思います。企業への提言、手ごたえありますか。
- 伊藤
企業のトップに影響を及ぼすって、日本の場合、非常に難しいですよね。つまり、ヒエラルキーの中に生きているから。だから、難しいですよね。でも、意外と「聞くようで聞かない、親父の小言と冷酒」でしたっけ? 私の場合には幸いにもいろいろな経営者の方々の酒を飲みながら本音で話をする機会があります。伊藤忠の丹羽会長などとも、時々お話をさせてもらっています。
- 佐々木
そうですか。伊藤忠は、私、今、アドバイザリーをやらせていただいて。
- 伊藤
そうですか。僕が何か言ったから直接すぐ動くわけじゃないんだけど、でも、意外と学者の言ったことって、すぐに効かなくても、何年かしていると、効いてくるんですよ。
- 佐々木
じわじわ変化していったり、動いたりっていうのは、やりがいがある。
- 伊藤
オブザーバーとしては面白いですよね。例えば、私の手帳を見て、ある週に誰と会っているかを見ると、時には会った人の資本金を合わせただけで、すごい金額になったりしてね(笑)。そういうことって、普通の職業だと、なかなかないでしょ。
- 佐々木
ないですね。
- 伊藤
別に、私が会っても、お互いに利害関係もないものですから、非常にやりやすい。
それから、もう終わるんですけれども、『論座』っていう雑誌で、今、90年代のキーパーソンのインタビューをしているんです。小沢一郎氏、宮澤喜一氏、それから菅直人氏、野中広務氏、そして森喜朗氏。右から左までやれるっていうのは、学者のいいところ(笑)。
面白いですよ。みんな、同じ時期のことを聞くと、全部違うことを言うんですよ。だから、誰か1人だけ本当のことを言って、他の人はみんな、嘘を言っているんじゃないかな(笑)。でも、ああいう雑誌に出てくると、なかなかみんなチャーミングで。
- 佐々木
それも先生の引き出し力っていうのか。
- 伊藤
その時に政権の中枢にいた人が何を考えているか、それも、全然違うスタンスで。
- 佐々木
先生はこれから先、どんなご自分のキャリアプランがあるんですか?
- 伊藤
あまり考えていないんですけどね(笑)。でも、分かりやすい目標でいうと、大きな本っていうんですか。大きいっていうのは、別に、厚いとか難しいっていうのじゃなくて、それなりに自分の今までの考えとか経験が凝縮した本を、あと何冊か書ければいいかな、と。
結構、気が多いもんですから、もし、自分の今まで考えたことを本にまとめるとすると、1冊は、おそらく、「マーケティング理論」みたいな話で、もう1冊は、やっぱり「グローバル経済」、もう1冊は、もし可能であれば、「日本の経済政策」みたいなことが書ければ、とは思っています。でも、できるかどうか分かりませんけどね。書こうと思うと、つらいからね。
- 佐々木
でも、そういう話って、すべて旬っていうか、仕入れた情報と発表の時差があってはいけないから、書く時には集中していないと。
- 伊藤
でも、あまり生々しいといけませんから(笑)。でも、学者だから、楽しんで、ね。イー・ウーマンの方も、ぜひ、そういうキャリアを。
- 佐々木
今日は、対談にならず、ただただ聞き入ってしまいました。それでももっとうかがいたい。先生の話の魅力がさらに分かりました。これからもどうぞ、温かいご指導お願いします。お忙しいなか、ありがとうございました。
対談を終えて
いろいろな場所で今までもご一緒する機会があったのですが、今回は、多分初めてじっくりお互いにインタビューし合いました。そう、ウィンウィン対談と同時に、伊藤さんのNIRAのサイトで、伊藤さんに私がインタビューされた、のです。双方向インタビューは初めてのことでしたが、不思議な感じで面白かったです。でも、本当はこれからが面白い、互いの下調べ、という感じでした。
私は、先生ご推薦の本をすべて購入。少しずつ読み始めました。これから、先生といろいろお話できることを、また、イー・ウーマンにもご登場いただけることを願っています。お忙しいなか、ありがとうございました。
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