ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第92回 戸谷 圭子さん

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株式会社マーケティング・エクセレンス マネージング・ディレクター
戸谷 圭子さん
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1円を合わせる。それが、銀行が気にしていたこと
- 戸谷
銀行って、やっぱり規則ばかりで。護送船団方式がずっと長くて、私が入った時点で、やっと自由化がこれから始まるからと言いつつ、規制も徐々にしか外れてこないわけです。
私が入ってしばらくというのはバブル時期なんですよね。でも当時の大蔵省の規制はまだ強く、今まで何十年もやってきた銀行の内部のルールや業界ルールもあったんです。よく言われる、「1円を合わせないと帰れない」っていうのがあったりして。
- 佐々木
そうですね。「3時に銀行が終わるけど、1円を合わせるために、皆、夜の9時まで全員で帳簿調べていた」とかって、聞きましたね。
- 戸谷
そういう職場なんですね。やっちゃいけないことがたくさんあって、評価も減点方式。何か新しいことをやるということは、いけないことなんですね。
- 佐々木
過去を守るとか、今までのルールを守ることが「よし」で、新しいことは過去のルールにはないから「ダメ」っていうことなんですね。
- 戸谷
そうなんです。リスクをとらないんです。新しいことというのは常にリスクがつきまとうので、それをやるのはいけないこと、というカルチャーが何十年もの間にできあがってしまっているのです。
私は入社した最初から本部に入るという、とても特殊な例だったんです。普通、新入社員は最初に営業店に配属されるんですね。営業店というのは、1円を合わせなきゃいけない。だから、間違えちゃいけないということに対して、営業時間中、ずっとそれを考えて仕事をしている。
- 佐々木
一番重要なことが、1円も間違えちゃいけない、っていうところ。そこに意識が集中しちゃうってことですね?
- 戸谷
そうです。窓口の人達は1円も間違えちゃいけない。で、融資をする企業に行く、渉外さんといわれるような方達は、貸し倒れが起こっちゃいけない。潰れる会社に貸しちゃいけないということが一番大事ってなっているわけです。
- 佐々木
だから、お金が今なくて困っている会社には貸しちゃいけなくて、お金がいっぱい余っていて、絶対貸し倒れしそうにないところには貸していいっていう。
- 戸谷
まさにそういう感じですね。でも、規制に守られていたから、それでも生きてこられた。で、規制が外れたのに、それに対応できない。もう、企業として今までのルールが根付いていますから。
- 佐々木
急にルールが変わっても、なかなか現場の心理状態や行動は変わらないということですね。
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