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古荘純一さん
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ほかに心の居場所がないから
- 古荘
たとえば海外とかを見ても、イラクなどの地域では、戦争で自身が生きていくことに不安があるが団結感は強まるでしょう。一方で3つの不安が強くて追い込まれると最悪自爆テロなどが発生すると思います。しかしそれとは違う、異質の不安があると思います。
- 佐々木
日本独特の。
- 古荘
日本独特の不安だと思いますね。食べるものにも困らないし、そこそこお金も持っているし、それなのに、なんでこんなに不安があるんだろうか。
将来不安っていうのは、やはり大人の世界をそのまま子どもが投影したものですよね。存在不安だとか能力不安だとかっていうのは、逆に豊かになることによって生まれてきた不安といえる。要求が高くなったり、あるいは注目されるようになって、子どもたちが追い詰められてくるという、わが国の、社会の問題じゃないかと。
ですが、逆に言えば、その2つの不安っていうのは、われわれが少し考え方を変えたり対応したりすれば、まったくなくなる。まったくと言っては問題ですけれど、なくなっていくものではないかと思いますね。
- 佐々木
でも存在不安というのは、私って生きている価値があるんだろうか、っていう不安ということですよね。大きい問題です。
- 古荘
そうですね。これは、たとえば、学校でいじめられたりとか成績が悪いということで引け目を感じる。本来、家庭という温かいところがあるはずなんですけれど、今は家庭のあり方や機能も変化しています。
ご両親の仲が悪いというだけでも、子どもにとってはかなりストレスになりますし、ましてや虐待の問題があったり、親に無視されたり関わってくれない、っていうふうな形ですと、居場所が無い。いくらゲームをやっていても、ダメ。ゲームが楽しくてやっているのではなく、ほかに心の居場所がないから居場所を求めてやる、話す人がいないからやっているのではないか。
ですから、子どもは、ゲームばっかりやっているっていうふうに言われているけれど、本当は自分の存在、居場所っていうのがなくて悩んでいるんじゃないかっていうふうに考えています。
- 佐々木
相手がほしくてゲームに走る。
- 古荘
ええ。依存できる相手ですよね。まあそれは、一番、お母さまがいらっしゃればいいんでしょうけれど、お母さんお父さんがいらっしゃらなくて、おじいちゃんおばあちゃんとかも近くにいない、ということになると、依存できる相手が誰もいないということになりますね。
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