ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第34回 久司 道夫さん

34 |
久司 道夫さん
|
|
|
世界平和は食から始まる
- 佐々木
昨夜日本にお着きになったと伺いました。お忙しいところありがとうございます。
今日は「食」の話なのですが、わたしは、1980年に9カ月間アメリカに留学をしたことがきっかけで食を考えるようになりました。留学中、一気に8 キロ太りました。何を食べても太るし、生理は止まってしまうし。それで、初めて栄養学、食とカラダの仕組みなどに興味を持ち、大学の図書館で勉強したんですね。それまで日本では、一食にご飯を10杯食べても太らなかったのに(笑)。
それで帰国後は玄米にして、食材は有機無農薬を選び、原産地にもかなりこだわって、どんな育て方をしたかとか意識して見たり。調味料も無添加。ですから今日は、いろいろ教えていただきたいのです。先生は、1949年に留学されたのが初めてのアメリカでいらっしゃったのですか?
- 久司
初めてで、また最後でしょう。
- 佐々木
(笑)。行きっ切りになってしまったんですね。49年には、東大卒業後コロンビア大学大学院に入られたのですが、政治学の研究と伺っています。それなのに、食? とちょっと疑問が。わたしの場合は体調が悪くなって食に興味が出たのですが、先生は何がきっかけで食の研究、マクロビオティックの研究を始められたんですか?
- 久司
あのね、法律や世界政府、世界連邦設立の勉強をしていたんですよ。でもね、世界平和ってものをつくるのにね、人間性が良くなければ駄目なんですよ。
要するにうそをついたり、けんかをしたり、興奮するような人間性であれば、とても平和なんて成り立たないです。そんな人の場合、条約なんてものは破るためにあるようなもんでね、いかに約束しても破るし、また興奮もする。だから、指導者をはじめとして、国民が健康で、平和な心をもって、霊性、つまり精神性が高くなっていかなければならない。
そうなるためには、血液をきれいにしなければならない。全細胞を変えるわけです。どんな方法があるかというと、食を正すということですね。食を正すには、どういう食物を取るのがいいのか、ということですね。
- 佐々木
わたしは、そういった考え方がよくわかるので、聞いてもすんなり受け入れられますけれど、先生は、初めはどうでしたか? 大学、大学院時代からそういうお考えでいらっしゃったんですか?
- 久司
いえ、もともと、世界平和について、世界連邦や世界政府について、当時の東大総長の南原繁先生、キリスト教指導者の賀川豊彦先生に師事していました。そのほかに、桜沢如一先生。桜沢先生は東京と日吉に世界政府協会っていうのをつくってらっしゃった。それでお訪ねしたのですが、桜沢先生は食養家としても知られていたんです。
食物の話は少し聞いてはいました。だけども、それが自分の人生になるとは、まだ見当がつかなかった。むしろ政治とか法律を教わっていました。ところが、アメリカの大学でどんどん勉強している間に、どんな社会組織ができても、これはどうしようもない、と気付いた。
- 佐々木
つまり、どんなに学力があって、頭で論理を詰めていっても、どんなに説明が論理的にできても、もとの人間のカラダが受け入れられる、いいカラダでなくては駄目だ、平和なカラダでないと駄目だ、というところに行き着いたということですか。
- 久司
そう。良心があり、愛情が豊かで、平和を望む、自然にそういう人柄にならなきゃいけない。
説教じゃ駄目、理論じゃ駄目。じゃあ、自然にそうなるには、どうすればいいのか、とうことで、食べ物にきたんです。それ以来アメリカで、自然食運動、オーガニック運動と、どんどん起こしていったわけですよ。
日本食に基づき、欧米化した食体系にしようと。もちろん最初はこてんぱんに叩かれました。アメリカでは高たんぱく質、高脂肪の栄養学ですから。だけども現代では、トップクラスの人たちはどんどん受け入れています。1999年に自然食だとか、オーガニックだとか、代替医療だとかが出てきて、変わり始めた。そういうことで、マクロビオティック研究が歴史的な業績であると認められ、わたしたちの資料がスミソニアン博物館に入ったわけですよ。
1/17
|
 |
|
|