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假屋崎 省吾さん
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毎日気付く、感じる。それが感性
- 佐々木
先日、イノベーションについてお話を伺ったんですが、技術でも思想でも、とにかく今までにないものを二つ組み合わせることがイノベーションなのだと。そういう意味では先生のお花ってイノベーションじゃないですか。新しいものの組み合わせでしょう? その感覚というのは、どうやって磨かれてるんでしょうか?
- 假屋崎
感覚自体をいつも新しく取り込もうという気持ちで生活していますよね。世の中にはマイナスの要因が山のようにあるわけでしょう? ですから、そういったものに、自分が侵されてしまったら駄目なんですよ。もう常に美しいものを見て、感性を磨く。わざわざ磨こうというのではなくね。
- 佐々木
日常での感性。
- 假屋崎
たとえば、八百屋さんに行って、トマトの隣にキュウリが並んでいて色合いがきれいだなとか、見たことのない野菜を「なんだろう?」と思ったり、「ああもうマツタケが出てきたのか」と思ったり。
今までの毎日の暮らしは平々凡々なんだけど、ふっと新しいものを見て違う気持ちになったり、美しさを感じたりすると、細胞が活性化されるような気がするんですよ。こういうものとああいうものを組み合わせようとか、ああいうものができないかな、とかいろんなヒントが生活の中に散りばめられているの。もちろん美術館にも行きますよ。それに映画。自分にとっては栄養の素。
- 佐々木
つまり、身の回りのことをしっかりと見て、一つ一つを認識し、感じていくということですね。毎日の生活で、とにかく気が付く。パッと見てああこうなっているな、ということを認識できるっていう能力ですね。そして、「これはきれいだな」「昨日とここが違うな」という、「うれしいな」「ありがたいな」とかっていうことを感じるっていう。
- 假屋崎
この間、ディズニーランドに初めて行ったんです。楽しくて、一日でアトラクションを10個も乗ってしまって。ホーンテッドマンションは2回入っちゃったんだけど、その前に映画を観ていたのね。「あ、これだ、あれだ」と。
やっぱりそういうアンテナが勝手にピッピ、ピッピ飛び出してきてしまうわけ。生活をしていると、何でもキャッチしてしまうの、これを見なくちゃ、あれを見なくちゃではなくて、カラダがそうなっているんですよ。
それがそういったもの(クリエーティビティ)をつくる上でとても大切なんですよ。それとですね、古典。尾形光琳だとか、乾山とか琳派だとか、蒔絵などね。建物もそう。新しいものもそうだけど、古いものも。
- 佐々木
美術とは限らない?
- 假屋崎
そう美術より、建築・空間・庭・城・絵画を見て、いまだに本物として成り立っている古典を見ると、温故知新ってよくいうけど、それと新しいものを見ることによって、組み合わせをしながら、自分なりの表現をするってことにつながっていくんですよ。
ある程度論理立ててね。自分では自然に分析をするんだと思ったんですよ。でもただ見るのじゃなくて。見たものが脳の中にいったん入って、机にいっぱいしまっていくんじゃない? 何か起こったときにピッと出てくる、という感じに自然になっているんでしょうね。
- 佐々木
それは子どものころからそうだったんじゃないですか?
- 假屋崎
好きなものはね。でもそれは訓練だと思いますよ。訓練すれば根付くと思いますよ。経験の積み重ね、ってことですよ。
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