ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第28回 米倉 誠一郎さん

28 |
米倉 誠一郎さん
|
|
|
立川バス、100円を考えた
- 佐々木
10代、20代、30代、どうやって教えていけるんでしょう? ちょっと前の人のほうが自由な発想でいたのに、今は耳年増になっちゃってるのかもしれない。わたしなんかは無知だったから、何もないところから考えるのは、逆に自然だった。今はみんなすごい情報をもっているでしょう。
- 米倉
その一方でわれわれがチャレンジするとすごいですよ、学生には。たとえば3週間でこれを仕上げろというと、ここまでやるの、というくらいすごいのをもってくるの。18歳の1年生でも。
一橋大学の受験者から合格者を決めるときにね、合格点を決めるんだけど、1点変えるだけで50、60人動くんですって。すごく狭い枠の中にびっしり同じ点数の人がうわっといる。ちょっとの差なんですよ。だから、ある意味、情報処理能力はみんなほとんど同じ。
だから情報処理能力はもういい。大学に入って必要なのは情報創造能力。まず、与えられた問題を解くんじゃなくて、問題を自分でつくる。それと、それに必要なツールを探してくる。アクションプランを考える。アクションする。こういう課題の授業をやっていたんですよ。
一橋大学の一部は小平にあって、国立(くにたち)から離れている。かつてはスクールバスが走っていたが、資金難からバスがなくなった。それで片道270円かそれぐらいかかる。そしたら、つい3月まで高校生だった男の子が、自分で問題を立ててプログラムをつくった。
小平と国立の間に100円バスを走らせると。彼は立川バスに行って交渉してきたの。そのアイデアがすごくおもしろかった。普通のバスだって200円ぐらい取るのに、市民も乗せてもいいんだっていうの。
で、100円ってどうやってやるんだってきくと、求人したい企業のパンフとか置いたり、いろいろな会社の説明会をバスの中でやるんだと。彼はえらいよ。それを立川バスの役員会まで行って、説明して、やれ、って言って来たっていうんだから。18歳ですよ。
16/23
|
 |
|
|