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松井龍哉さん
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わが社のルール「昼ごはんをつくること」
- 佐々木
日常生活について少し伺いたいんですけど。当然松井さんの生活すべてが創造につながっていくと思うんですが、健康管理や休日の過ごし方など教えていただけますか(笑)。
- 松井
健康管理は……(笑)。僕は朝型ですね。デザイナーというのは、生活のプロじゃないといけませんからね。
- 佐々木
大賛成です。
- 松井
すごく単純ですけど、食べることとか眠ることとかを粗末にする人が創るものなんて、やはり発想が貧しいと思います。うちの事務所では、みんなが当番製でお昼ごはんを作るようにしているんですね。青山って食べに行くと土地代入ってるから高価じゃないですか? 自分たちで作ればだいたい材料費500円くらいで済みますから、効率的ですしね(笑)。だから事務所のキッチンにはお金かけました。
料理することで覚えるんですよね。食べ物を作るのは非常にクリエーティブじゃないですか。うちの学生は工学部だったりデザイン科だったりするので、意外と足元を見ていなかったと気が付く。クリエーティブとは気が付く行為だと思います。
- 佐々木
すごくよくわかります。
- 松井
生活者の視点や感覚っていうのは、自分の中にないものは絶対に出てきませんからね。いくらごまかしても絶対にばれてしまうから、毎日食べることでも、人の暮らしってこういうものだと理解した上で、ロボットのことを考えてないと、非常にチグハグしたものになっていくと思います。
- 佐々木
なるほど。
- 松井
生活というものを大切に。だから、生活感ベッタリ、という人のほうがデザイナーとしてはいけるんじゃないかなとは思いますね。ごはんも作る、掃除もする。おいしいお茶を飲んでおいしいという感覚、掃除をして気持ちがいいという感覚、そのちょっとした感覚なんかが、ロボットを創る上だけじゃなくて、どんなことにもすごく大切なことだと思いますが。
- 佐々木
自分たちだけで技術の話だけ盛り上がって、ここが動いた、すごいだろうって言われても、ちょっと違うだろうって思ってしまう(笑)。
- 松井
車でもそうですけど、エンジンのシステムがすごい車っていうのは、たしかにすごいですけど、そこに、それに乗って生活することを忘れちゃいけないですよね。だから生活のプロっていうことは大事なことですね。食べることだって、生まれて死ぬまで永遠に続く行為ですし(笑)。
- 佐々木
そうそう(笑)。さっき作って食べたのに、また、もう作る時間かあ、っていうね(笑)。ここで、食べる人、使う人の幸せを創造するということにもつながるんですね。
- 松井
うちは男所帯なので、最初はみんな嫌がってたんですけど、「うちのルールはごはんを作ることのみ」と言っているうちに、だんだん慣れてきた。食器の選び方とかもね。
- 佐々木
そうですよね。たしかに盛り方にも気を配らないといけない。生活をしていない人に生活者の求めるものは提供できない。すべての仕事に言えると思いますが昼食を料理することを社のルールにするとは、すばらしい。
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