ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第22回 久米麗子さん

22 |
久米麗子さん
|
|
|
「モード」は、前進の匂い
- 佐々木
そうは言っても、服を選ぶときに仕事での立場を考えるわけですが、わたしも年を重ねるにつれ、ビジネスにおしゃれを取り入れたい、と思うようになったんです。
- 久米
あるブティックで、顧客のニーズに合わせて仕入れするところがあってね、その方はプロ中のプロですね。また、わたしのところにいた元スタッフが、実業家のスタイリングを福岡でしているんですよ。政治家にもスタイリストがついていたりしますものね。
- 佐々木
どうやって「今」を取り入れたらいいのか。自分らしさの上に。
- 久米
わたしがテレビでこの服を使おうと決めるときなんですが、数年前から半そでを冬に着てるじゃないですか。それをテレビで使うとき、北海道の人が見て、「なんでこんな寒いのに半そでを着てるんだ」ということになるかもしれない。
でも電車に乗って半そでを着ている若い子たちが増えたとき、「これはもうテレビで着てもいい」と思うわけ。そんなふうに街のファッションを目安にすることもあるし、先がけることもある。
「モード」は、前進する匂いを持ってるじゃない。
仕事の内容にもよるけれど、どんな人であれ、前進する匂いを取り入れているかどうかというのはとても大切なことだと思う。
もしかしたら、もう駄目になっちゃう社長と駄目じゃない社長との差は、モードを少し取り入れているかどうかの差もあると思う。モードを取り入れていると、まだこの人たちは前進しようとしているんだと感じる。その前進の匂いを持って次に進もうとしているその勢いというんでしょうか。それは年齢は関係ないと思うの。
何か一つでもいいの、そのシーズンの何かを着てるな、っていう。
- 佐々木
シーズンの、ですね。そういいながら、このコート3年着てるな、と思ったりして反省(笑)。
- 久米
わたしだって同じよ。大丈夫、負けないで(笑)。
捨てられなくて置いてあるものもいっぱいあるのよ。円が360円のころ買ったミッソーニとか、なかなか着られないのにね。
ジャケットなど上物が一番目立つけれど、今年の春夏だとサテン素材とか、パステルカラーのものが多いとか、そういうものをちょっと入れればいいんじゃないかしら。
- 佐々木
麗子さんご自身はどんなふうにモードを取り入れているんでしょうか?
- 久米
東京でコレクションを見せていただく時に、これは取り入れられそうとか、モデルさんが着ていても着こなしが難しそうなものは流行らないんじゃないかしらとか、そんなことを思いながら見ていますね。
その中で、そのシーズンに自分が受け入れやすいものを選ぶ。
今着ているものは秋冬だけれど、刺繍が好きなのと、去年ぐらいから毛皮の部分づかいがきているから、3年は着られると思って。
チュチュみたいなスカートをはけばパーティーにも行けるし、そうじゃないときはふだんに。パーティーに着て行ける服をドレスダウンして日常に持ってくる、そういうことは好きですね。おもしろがってしています。
- 佐々木
電車の中や街の中も大切なんですね。
- 久米
服は人を傷つけない。だから、割烹着であろうと、花柄のフリルであろうと、パーティーの話題にするにはおもしろいですよね。
あと、服は着る喜びもあるけれど、家に帰って「はー、疲れた!」って言って全部脱いだ時の喜びもあるじゃない。
最期の日まで何かをまとってないといけないわけじゃない。だから、楽しめばいいんじゃないですか、そう思いますけど。
8/11
|
 |
|
|