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藤野英人さん
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業界最大手を辞めた二つの理由
- 佐々木
業界最大の野村投資顧問を6年半でお辞めになった理由は何だったのでしょうか?
- 藤野
一番のきっかけは、第ニ次野村スキャンダルという、社長が暴力団に現金を渡した野村証券の不祥事です。
その前に第一次証券スキャンダルがあったとき、野村投資顧問は一緒に仕事をしていて、野村證券と非常に近いビルに会社があったのですが、歩いているとカメラマンなど報道陣がたくさんいて、「君はこんな会社で働いていて、良心はとがめないのか?」とか聞かれまして。
第一次のときにすごくいやな思いがあったんですね。そしてこの第二次のスキャンダルでは、どう考えても申し開きがつきませんよね。非常にがっかりしたんです。第一次証券スキャンダルのときに、もうやらない、と言ったのに、今度は暴力団にお金を渡しているんじゃないか、と。
こんな会社のグループとして、どうなんだろう、という疑問があったことと、ちょうどそのころ外資系が進出してきている時で、人材の草刈り場になってしまい、尊敬している上司がいなくなってしまったということで、すごく悩んだんです。
なおかつ、1996年時点で、終身雇用が崩壊するということが信じられてなかったんですが、そうなると考えた場合、「野村だから安心」だといって5年、10年たったときに、実力の世界になってくると自分はどうなってしまうんだろうと考えました。
5年、10年、のんびりやっていて、外資系の実力社会でもまれた人が、ある日突然自分の上司として入ってくるという事態になるのではないかな、と思いました。そうするとどう考えても、実力の世界に入って、今からもまれたほうが10年後の自分の価値は高まるのではないかと思ったんです。
つまり、二つの理由ですね。外資系が進出してきて尊敬する人たちも辞めていったこと、終身雇用制も崩壊する中で自分も実力をつけなければならないということ、ですね。そこに一連のスキャンダルがあって、背中を押された感じです。
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