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志村季世恵さん
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命って、大切だよね
- 佐々木
出産、母子のケアもされていますけれど、出産にまつわる不安については、何か変化ありますか?
- 志村
わたしのところに来る人たちは、特に以前と変わりないかな。
子どもを産むっていうことは、初めての人なら誰でも怖いよね。それが10年前の女性だとしても、子どもを育てた経験が今の人よりも身近にあったのかというと、そういうわけでもなくて、初めて子どもを産むことには変わりないんですよね。だから、あまり変化はないと思います。
ただ、子どもたちにリストカットをする子が増えてきたということからしても、「命がとても大切なものだ」ということを教えることができる親が減ってきているな、っていう気がします。
「命って大事だよね」ということを、もちろん教えているのでしょうけれど、ちゃんと伝え切れていないように思います。
- 佐々木
子どもが見ているマンガを一緒に見るようにしているんです。「何を見てるの?」「どんなところがおもしろいの?」って聞くと、「この人は悪者なんだよ。この人のまねはしないから安心してね」って、わたしに言い訳しながら見ているんですが(笑)。
今のテレビの言葉遣いの悪いことってないんですよね。このストーリーで、ここまで言わなくてもいいんじゃないかっていうような、ひどいセリフを使っている。この前も、「いためつけてやりたいの」なんてセリフが飛び出してびっくり。マンガの主なストーリーは、けんかと殺人なんですよ。かなりの悪影響じゃないですか。
- 志村
悪影響でしょうね。言葉って入ってきますものね。
さっきも少し話が出ましたが、もし子どもに、「お母さんはわたしのことを愛していないんじゃないの?」とか言われたら、お母さんとしてはかなりショックでしょう?
そんなときは何も考えないで、「そんなセリフが出てくると思わなかった」って言って、突っ伏して泣いたほうがいいと思うの。お母さんって考え過ぎちゃいけないときもあると思うんです。
わたしも以前、子どもと闘っている時期がありました。長男が小学校の4年生のころだったか、「死にたい」って言ったことがあったんです。「それだったら、あなたを産んだわたしを殺してから死になさい」って包丁を持って行ったの。で「いいよ、やってごらんよ」って。そしたら長男が、泣いたんですよね。
親として、考えて言葉を出して理論や理屈、話し合いでうんとやっていいことと、その場で肉体的に伝えなくちゃならないこととがあるような気がしていて。
わたし、子どもが「お母さんのこと嫌い」なんて言ったら、本当にすぐ泣くの。もし、お子さんにそんなこと言われたら、泣いてみて、ずっと24時間、ごはんも食べずに泣き続けてください。
そうすることによって、「そこまで悲しくさせてしまうことがあるんだ」って気付くことがあるんです。頭で伝えてもわからないんですよね。肉体で伝えないとわからない部分があると思うんです。わたし自身、そういうこと、結構やっていたような気がします。
20/24
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