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山田昌弘さん
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正規社員と非正規社員の区分が
- 山田
現実に管理職から単純労働に至るまで、アメリカは正社員と非正社員の区別は大きくはないわけですから、管理職の正社員でも、会社に不必要ならすぐ解雇されることもあれば、非正社員も実力を発揮すれば上の地位に就けるというシステムじゃないですか。自由競争が、いいか悪いかはともかく、働いている。日本は非正社員になってしまうと、多少仕事に工夫しても、自分の仕事ぶりを見てくれる人がいないんですよ。
- 佐々木
本当にそうなんだろうか。
- 山田
と思っているし、現実に上にはなかなかなれないという。
- 佐々木
イー・ウーマンでは上がれますけど。
- 山田
そういう職場もあるとは思うんですけども。逆を言えば、意欲ある社員の人はそういう職場に放り込んで上にいくというのはあるんですけれども。大多数の正社員が働いている職場では、私もフリーターにもたくさんにインタビューをしましたから、結構、ただお金のために働いているだけって感じでしたからね。だから、とにかく仕事というものが尊敬されるものではなくなってきていると感じます。
- 佐々木
本当ですか? それは何とかしなくてはいけないですね。お話を伺っていると、今までいっぱい工夫したのに駄目だった、という回数が多くてやる気を失っている人たちに、「そうじゃないよ」と言ってあげたいですが、でも、それでもやはり、そこから前に進むための根本は、意欲にあるような気がします。
- 山田
日本は、学卒新規採用みたいなシステムがあるとともに、正規社員と非正規社員の区分が、あまりにも溝が大きい。それがあるおかげで若い人が意欲を持ったとしても、すぐにそがれてしまうようなシステムにあると思うんですよね。
- 佐々木
私は、その非正社員という呼び方が大嫌いで。
- 山田
そうですか。
- 佐々木
そこの呼び名を変えていったらどうかと、いつも思っているんですよ。なぜなら、
先生がご指摘になるような、ある一定の仕事を長年しているのに差別を受けたり、あるいは何ら機会を与えられないという人たちを、非正社員と呼んでいますが、一方で、フルタイム以外の働き方を自ら選びたくて選んでいる人も、非正社員と呼ばれています。それは一つの働き方の選択なので、そういう労働が今まではできなかったのに、選べるようになったのは実はいいことですよね。
それが派遣だとしても契約だとしても、「多様性(ダイバーシティ)」と前向きに考えれば、多様な働き方の1つが、フルタイムでなかったり、あるいは働く曜日が選べたり、時間帯が選べたりということになります。でもその人たちも今は非正社員と呼ばれているので、弱者や被害者が実際より大きい数字になっているのではないでしょうか。
私どもの会社、いろいろなライフスタイルに合わせて働き方をつくろうとやっているところでは、非正社員も正社員も、全く関係なく、昇進機会も給料も平等です。派遣の方にも、社員採用をすすめます。でも、派遣がいいと言って、社員にならない方もたくさんいるんですよ。なので、すべてのタイプの働き方を「非」正社員と呼ばれることで、すごくネガティブな印象を持つので、違う呼び名に変えていく方がいいと思っています。
ちゃんと実体をとらえ、本当に不平等で法的に間違っている待遇を受けている人たちは、直ちに是正する。一方で、多様な仕事を選んでいる人は、本人も選んでいる意識があるのですから、受け身にならずに、能動的に、前向きな名称にしたらどうかと思うんです。
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