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伊勢崎賢治さん
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取材をして一歩前進しない限り、日本の世論は変わりません
- 佐々木
私、以前、ニュースステーションという番組で6年間リポーターをしていたんです。1社目のユニカルをもう起業していたんですけれども。で、二十数カ国に行きました。フィリピンの山奥のゲリラのところに行って、銃を突きつけられながら取材をしたり、モザンビークとジンバブエの国境の難民キャンプを取材したり、レナモの兵隊として捕まって人殺しをさせられていた子ども達の復帰施設の取材をしたり。ですから、先生のお話しになることを、少しだけですが現場で見ているのです。それで南アフリカのアパルトヘイトの取材では、催涙弾を投げられた後に銃で撃たれて、弾の摘出手術をヨハネスブルクで受けたりしました。
- 伊勢崎
そうなんですか。当たったんですか?
- 佐々木
はい。跳弾だったので脚の中で留まっちゃったんです。
- 伊勢崎
なるほど。補償はなかったでしょう。
- 佐々木
なかったです。私は番組との直接契約のフリーランスだったので、銃で撃たれたときに初めて社員とフリーランスの違いを実感しました。最近では、ミャンマーで亡くなった長井健司さんの報道でわかるように、危険でテレビ局が社員に渡航制限をかけている場所にはフリーランスのジャーナリストが行っている。そういう仕組みなんですよね。
- 伊勢崎
行ってから初めて分かりました? ないでしょう。欧米のメディアだったら、パキスタンなんかで、アルカイダの取材で、拉致されて殺されたなんていった事件が起こるわけですが、ちゃんとしたメディア本社の人間が巻き込まれるんですね。日本は違いますよね。アフガニスタンでは、韓国のメディアからも取材を受けたこともありますけど、現場まで来たのは、やっぱり本社の人間でしたからね。
- 佐々木
やっぱりすごく日本のメディアは、そういう意味では、取材規制とかをかけている。社員を守るためなのか分かりませんけれども。
- 伊勢崎
労働組合が反対するのか、あるいは……。
- 佐々木
あるいは、経営陣が危機管理の視点から自粛させているのか。
- 伊勢崎
でも、そういう場所でも出かけて行って取材をして一歩前進しない限り、日本の世論は変わりませんよね。やはり日本人が現場から報道するのと、CNNとかABCとかの映像を買ってきて報道するのとでは、全然日本人大衆に与えるインパクトが違うでしょ?
9/30
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