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伊勢崎賢治さん
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各コミュニティの親分達と話をつけないといけないんです
- 伊勢崎
そうですね。ある意味、敵を利用するっていうことですね。暴力は使いませんけれども。敵を作るっていうのは、非常に有効な、人間をまとめる手段ですよね。
- 佐々木
そうですよね。たとえば「あんなひどいことをしたじゃないか」と。「やっぱり、住むところぐらい、ちゃんと確保したいよな」って言ったら、皆「そうだ!」っていう、一つの視覚化できる共通の体験から、団結させていく。
- 伊勢崎
それで、各コミュニティの親分達と話をつけないといけないんですよ。
- 佐々木
ということは、まず親分を認定するところから始めるわけですよね。それは簡単なんですか?
- 伊勢崎
それは大体分かるんです。僕一人でやっていませんから、チームでやっていますから。そういうのは政治政党にとっても大物ですし、スラムは非常に都合のいい票田なんですね、政治家にとって。農村だったら、隙間があるでしょ。でもスラムは、ワーッと凝縮していますからね。それで政治政党の動向からもリーダー格の住民は分かりますし。そして、我々自身が住民の中で暮らしますしね。ちゃんと分かってくるんです。
- 佐々木
まず最初は、一緒に暮らすことなんですか?
- 伊勢崎
そうです。
- 佐々木
たとえば、仮に、ここの何十万人が住むスラムをまとめようと、戦略が立てられたら、始めに「このエリアに入っていこう」と言って、そこに皆が居を構えて、「こんにちは」ってやりながら、リーダーとコミュニケートしていくんですか。
- 伊勢崎
そうです。それは、もちろん、そんな具合には始まりませんよ。
- 佐々木
どんなふうに始めるんですか?
- 伊勢崎
僕が所属したのはインドの非政府組織(NGO)ですが、ちゃんと歴史がありますので、僕らがゼロからそのNGOを作ったわけじゃないですからね。他の、簡単な小さなスラムで、同じような活動をしていて、ちょっと名前が知れていて、スラムの住民の間でも噂になっているような感じなんです。口コミで。だから、全くゼロから信頼醸成しなければならないのではありません。
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