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窪木登志子さん
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ウィンウィンの解決のための道具
- 佐々木
頭が下がります。将来、どうされたいんですか? このままずっと70、80歳ぐらいまで弁護士で?
- 窪木
それはやっぱり失礼だと思うので、頭が働くうちに……。
- 佐々木
何が失礼? 頭が働いたら80歳でもいいわけですよね。
- 窪木
そのときは相談の、アドバイスの種類がきっと変わっていくんだと思うんですね。人生相談みたいになっていく。求められる方がいて、とても一人では事務所を維持できないだろうから、それでも一緒にやってもいいよ、という後輩が育ってきて、やっているうちはいいのかもしれないけど、求められるものに応えられなくなったらダメだから、それは自分で引退しないと。
- 佐々木
自分で判断するわけですね。そうしたら、今は別に、いつまで、などということは考えていないんですね?
- 窪木
考えていないです。とりあえずは一歩一歩。もし65歳で辞めることができれば、「もう、私はやりつくした」と。で、弁護士もいろいろいるけれども、同じようにフレンドリーなというか、共感をして、アドバイスもして、しかも即時に動けるような弁護士さん、後を任せられる人が出てきたら、それは寂しいかもしれないけど、一番ハッピーかもしれない。それで65歳で引退したら、時間と先立つものが許せば、少しゆっくりと旅行をしたり、本を読んだり……。
- 佐々木
そういう人生を送る、と。
- 窪木
でも人と会わないと面白くないと思うから。
- 佐々木
きっと、何かしておられるでしょうね。きっと、やっぱり相談員とかをやっているんじゃない? 町の相談員で、いろんな人の相談を受けている人ですね、きっと。
- 窪木
やっているかもしれないですね。そうかもしれない。
- 佐々木
そんな感じがしますね。でも、今日は、よく分かりました。私が仕事を長くできていて、自分に品があるかどうかは分からないけれども、道外れたことをたぶんしないで済んでいる、その理由は……。
- 窪木
いや、それはもう佐々木さんの基本がしっかりしているからですよ。
- 佐々木
やっぱり窪木さんのような方にいろいろご指導を受けていたからだな、と思いました。弁護士が増えてきている中で、窪木さんが仰ったような指導、アドバイスというか、助言の仕方をしてくれる弁護士が増えてくれることを切に望みます。本当に品のないアドバイスをする、要するに、法律を戦う道具にしか使えない、あるいは使わない人が増えるのは悲しいことだと思っているので。
- 窪木
それは目的じゃなかったはずだから。古来から、ローマ法時代から延々と道具としてきたわけで、洗練されてきているはずなのです。ウィンウィンの解決のための道具だから。
- 佐々木
そうですね。法律はウィンウィンのためにある、と。いいお話でした。
- 窪木
そう信じています、私は。
- 佐々木
本当ですね。よく分かりました。ありがとうございました。
対談を終えて
もう、窪木さんとは長いお付き合いなのですが、今回じっくりと仕事のことをお話しして改めて尊敬の念を深めました。今までなんとなく一般的な弁護士と違うと感じていたのですが、その理由がわかりました。窪木さんは、法律問題を解決しているのではなくて、法律を通じて、品格のある人付き合いができるように私を育ててくれていたんだな、と実感したのです。品格のある人とともにいることが、一番の勉強です。これからも、大切にし、多くを教えていただきたいと思います。
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