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鈴木 淳子さん
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生きるという教育も小さいときから
- 佐々木
もっと、地域で人々がつながっていくといいんですね。
- 鈴木
そうなんです。この間、聞いたんですけど、子育て支援で、いつでも来ていいよ、相談もできますよ、という場所をつくったら、すごいんですって、満員御礼で。入場制限しなくては入れないくらいな状態だったりとか。でも、それは支援者の人が来ますよっていう日だけで、他の日は閑散としているんですって。そこで知り合ったから、また明日も来ましょうっていうふうにはならないって。
- 佐々木
親同士が、互いにつながることに慣れていない、ということですか。つまり親になる前から、もう少し人とつながることができていて、それで親になったときも継続的につながっていてサポートができるようになればいい、ということ。
- 鈴木
孤立していて、孤独だったお母さんが、機関と、人と、少しずつつながっていくと、確実に少しずつ変わっていきます。地域で虐待についてどうしようかっていろんな立場の人が集まって考えるような会議をすると、皆さん、日本人だから謙譲の精神に富んでいるんでしょうか、自分はこれもできない、あれもまだまだって、反省の弁も多くて。私もそうなんですけど、減点主義が身にしみこんでいる感じ。
でも、あるお母さんで精神疾患もあって家事や子育てが十分にできなかった人が、子どもは保育園で充分食べさせてもらった、学校で係りをやってほめてもらった、近所の人に挨拶してもらった、野球の仲間にいれてもらった、そうやって大きくなった、って言っていたそうです。できることを少しずつ持ち寄ったら、足し算以上の力が出る。算数じゃないから、ものごとって好いほうに回りだすとどんどんよくなっていくところもあると思います。
親になって困っている人への支援体制も必要ですが、親になるまでに、赤ちゃんを抱っこしたこともないということもある。だから今は中学校とかで保育園でのボランティア体験とか妊婦さんと話をする会とかもあると聞いたことがあります。そうやって、「生」の教育というか、生きるという教育も小さいときからしていけるといいんでしょうね。少子化で、身近に赤ちゃんがいないですもんね。大きいお腹で、つわりをがまんしながらも生まれてくる赤ちゃんを楽しみに待っている妊婦さんの話を聞く。赤ちゃんにも接する、だっこしたりオムツ変えたりする。お年寄りにも接する、お話しして智恵をもらって、老いること、死ということも考える。綾小路きみまろでしたっけ、「人間死亡率は100パーセント」って言ってました。本当にそうだよなあって、思いました。
話が広がりすぎました。こうだったらなって理想論ばかり言ってますけど。自分ではできないので、佐々木さんにお願いできないかと思って。
- 佐々木
次世代の親をちゃんと育てていかなければいけないということですよね。
- 鈴木
本当に後手後手で、起こったことに対処していると、もう爆発的に増えることになっちゃうと思います。小さいときから、どんな関わりがあったか、どんな経験ができたかということになるんですよね。
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