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宮嶋泰子さん
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「最強のチームになろう」と言って
- 宮嶋
いや、それは、経験でわかるというか、「このままだと、泣いちゃうよ、あの子」とか「そのうち、こうなるから」っていうのは分かってくるので、それはカメラマンに伝えます。でも、カメラマンっていうのは面白くて、人間、誰でも学習能力はあるじゃないですか。私は現場でそんなに指示するタイプじゃないんですけど、その人が撮ってきた一番いい絵はできるだけ使うようにするんですね。そうすると、カメラマンも「いい絵を使ってくれた」って、次回はさらに工夫をして撮影してくれるんですよね。それも信頼関係なんですよ。
やっぱり皆で、「今回は、こういう番組を作ろうね」って、話し合いはよくしますね。私がが見ていなかったものをカメラマンが見て面白いと思ったら「どんどん撮って」って。音声さんが集音マイクから聞こえてきたもので「こんな事を言ってる」って、面白い事があったら教えてって言ってあります。それをテーマに、皆で絵を撮ったり、インタビューで確かめたりするからって。3人は、もう、当時のクルーとしては最小限なんですよ。だから「これしかいないけど、最強のチームになろう」って言って、やっていたんです。
それはたぶん、カメラマンも音声マンも、作りたいものだったんでしょうね、皆が。「あれを撮ったのは僕だよ」とか「あの音声は僕だよ」って、やっぱり言いたいじゃない。仕事へのプライドですね。だから、いい物を作ろうねっていうコンセンサスが、その中にあった。今はなかなか難しいですよ。
- 佐々木
それは、何となく羨ましいな。1レポーターには、言えないんですよね。1回なんて、ゲリラが私に銃を三方から突きつけてるところで取材して帰ってきたら、カメラマンが怖がって私に近づきすぎていたから、どれも撮れていなかったの。戻ってからモニターを見てがっかりです。そうしたらディレクターが、「じゃあ、明日も行くか」って。「えっ? 明日もですか?」って。
- 宮嶋
勘弁してください(笑)。
- 佐々木
「道に迷ったようなふりして行ったのに、また道に迷うんですか?」って。今度撮らなきゃ、3回来たら殺されるって思ってるから、車を降りる時に、私はカメラマンに向かって、「ついてきて!」と大声で言って。カメラはそこから回っていったんで勇ましいレポートになっちゃったんですけど。でも、やっぱり、レポーターは現場でのチームワーク作る立場にいなかったんです。
15/24
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