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毛利 子来さん
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子どもは、夫婦だけでは非常に難しいですね
- 毛利
第一、家族が核家族になっちゃって。「昔の母親はえらい、って。なぜか父親が出てこないんだけど(笑)、昔の母親はえらかった。5人も6人も、ひょっとすると10人も産んで育てた。今の母親は情けない。たった一人でヒーヒー言っとる」って言う人もいるんだけど、状況が違いますよね。
昔は大家族だから、じいさんばあさんはいるし、おじさんおばさんがいたり、子どもも3、4歳になったら、もう、下の子どもを背中にくくりつけられて遊んでいたでしょう? 近所の人も手伝ってくれますからね。
農繁期なんか、母親が、労働力ですから田んぼに出ているわけですよ。するとその間、近所のおばちゃんがまとめて面倒を見ているんですね。そういう育児共同体があったんです。それがなくなっちゃったから、非常に育てにくいですね。やっぱり、子どもは、夫婦だけでは非常に難しいですね。
- 佐々木
夫婦にとっても、心のよりどころがあるかとか、知恵が入ってくるかって、大切なことだし、そもそも出会いが少ないと、自分を評価する人が一人しかいなくなる。そういう不安に加えて、子どもにとっても、出会いが少なくて、ロールモデルというか、サンプル数がすごく少なくてっていうのは問題なんですよね。
- 毛利
それは、大変大事なことだと思いますね。だから年寄りを見て「汚いの」なんて言う。病人も、死にかけて重病になると病院に入っちゃうから、目の前からいなくなっちゃう。障害者は別建ての施設で育てる……。だからロールモデルというのが非常に限られちゃって。親と、学校の先生と、保育園の先生でしょ?
- 佐々木
出会いが少なすぎるんですよね。
- 毛利
だから、同じことをしても、怒る奴もいるし……。
- 佐々木
褒める人もいるし、みたいなのがいいですよね。変な話ですけど、小学校を選ぶときに、どの小学校でもいいと思ったのですが、まずは、人数の多いところに行きたいなと思ったんですね。いろんな人間がいるところ。生徒も先生も。で、いろんな人数がいれば、とりあえず、「この先生は、自分のことを怒るし、私はあの先生は嫌いだ。でも、この先生は、いつもニコニコしてくれて、私はあの人が好きだ」っていうのがあると、子どもが救われるというか、選びながら生きていけると思ったからなんです。
- 毛利
逃げ場ができるしね。
- 佐々木
はい。だから、クラス替えのない、1学年1クラスみたいな小学校に行っちゃうと、出会いが限定される可能性が高いと思ったんですね。
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