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毛利 子来さん
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病気には、医者とか薬よりも、楽しい事の方がよっぽど効くんですよ
- 佐々木
そうですね。もうひとつが、ゼーゼーしたときのことです。
- 毛利
子どもはすぐゼーゼーするからね。
- 佐々木
3歳までは毎年秋から冬は、ゼーゼーしてました。1歳前後だったんですけど、初めて入院したことが有りました。親は泊まれない病院だったのですが、一人部屋に入れられちゃったもので、とても心配だったんですね。
- 毛利
可哀想だねえ。
- 佐々木
結局、たった1週間の間に、言葉が止まり、無表情になり、心理の先生にまで診ていただいたくらいで、本当に最悪だったんですけど、その時に感じたのは、病院側が忙しすぎると、あまり重病じゃない、高熱やゼーゼー程度の子どもは放っておかれる可能性があるんだなって。それで、次の入院からは親が一緒に泊まれる病院に変えてもらったんです。
- 毛利
それがいいです。入院はねえ、医者の側が「これは重病だ」と判断すれば「入院しなさい」となるんだけど、僕に言わせれば、重症で死にそうなのは、そんなにないですよ。そりゃ、小児がんとか特別な病気はありますけど、普通の風邪がこじれたとか、ひきつけたぐらいで死にはしないんだけど、これも医者の側の「自分のため」で、もし死んじゃったら困るから「入院させておけ」というようになる。それから、医者にしてみれば、入院させておけば都合がいいんです。すぐ検査ができるし、すぐ手当てができる。便宜のために入院させるんですけどね。
子どもからすれば、すごく不安だよ。僕ら大人だって、病院に入ったら何だか落ち着かないですよね。しかも、子どもにしてみれば、親から離されちゃって、おまけに痛い目に遭うとか、嫌な薬を飲まされるとか、ひょっとするとベッドにくくり付けられちゃうからね。だから、それはものすごい不安と恐怖ですから、病気にいい事はない。病気にはね、医者とか薬よりも、楽しい事の方がよっぽど効くんですよ。
- 佐々木
安心とかも、ですね。
- 毛利
うちの近所でね、商店のおじいちゃんが脳梗塞で半身不随になって寝たきりだったんですよ。すると、息子が買った宝くじが8,000万円当たったの。
- 佐々木
すごい。
- 毛利
その話を聞いたら、じいさん、起き上がっちゃって(笑)。そのくらい効くんです。
- 佐々木
(笑)
- 毛利
僕が医学生だった時に、当時は1950〜60年代、結核が全盛時代で、結核に興味を持って、結核の療養所に、よく遊びにいっていたんですけどね。そこの医者が「どういう病人が一番よく治るか?」って言うから、「安静と栄養です」って言ったら、「馬鹿野郎。そんな事を思っているからダメなんだ、お前ら」って(笑)。
「一番よく治るのは、看護婦さんに恋した奴だ。あるいは、女の患者さんなら、ハンサムボーイの青年医師に惚れた人」と。そうするとメキメキよくなるそうです。
- 佐々木
そうですね。
- 毛利
逆に、振られるとガタッと悪くなるけどね(笑)。2番目はね、看護婦さんの夜の見回りが終わって、コツコツと廊下を看護婦さんの足音が遠ざかっていくと、「はやく来い!」って言って、人を集めて、毛布を被って麻雀を始める。懐中電灯で。
- 佐々木
修学旅行生みたい(笑)。
- 毛利
これがよく治る。安静にして寝ていると、なかなか治らない。3番目はね、そっと部屋を抜け出して、塀を乗り越えて、町に一杯ひっかけに行く。屋台に。これも治るそうですね。一番治らないのは、体温計を口にくわえて安静にしている人。ハハハ。
- 佐々木
そうかもしれない(笑)。
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