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毛利 子来さん
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はっきり言っちゃうと、専門家が悪いんですよ
- 佐々木
今でもよく覚えているんですけど、うちの子がどのくらいだったでしょうか、2歳くらいの時、あるレストランのロビーで、満員で待たされていたんです。
- 毛利
それは上の子の場合?
- 佐々木
上の子の。そうしたら、やはり並んでた、近くにいたお母様が、赤ちゃんを抱いてやってきて、「すみません、いつ頃から歩き出しましたか?」って聞いたんです。で、「太ってたし、つい最近ですけれど、何で?」って言ったら、「うちの子は何ヵ月なんだけど、歩かないんです」って言うんですよね。だから、「大丈夫ですよ、大人になるまで歩かない人はいないから、大丈夫ですよ」って(笑)。知らない人なのに、私がすぐにそう答えたら(笑)。
- 毛利
偉い! さすが!(笑)。
- 佐々木
そうしたら、その人、何だか急に「そうですよね……」なんて言って。「この人に聞いても無駄だ」と思ったらしくて、スーッと去っていったんです。その時に、何ヵ月だ何日だって、ドキドキしているお母さんがいっぱいいるんだなと思ったんです。
- 毛利
それねえ、はっきり言っちゃうと、専門家が、やっぱり悪いんですよ。何ヵ月でどういう事ができるとか、体重は何グラムになるとか、そういう事ばっかり言うんですよね。だから、ちょっと、その標準なるものから遅れると、おかしいんじゃないかとか、脳性麻痺があるんじゃないかとか、どこか体に悪い所があるんじゃないかとか、いろいろ嫌疑をかけるんですね。それで、「また来月いらっしゃい」とか言うから、いけないんですね。
- 佐々木
ドキドキしちゃいますよね。
- 毛利
だから、ある幅をもって考えた方がいいんだ。こういう諺が日本にあるじゃないですか。「這えば立て、立てば歩めの親心」って。あれの下の句、知ってる?
- 佐々木
すみません、知らないです。
- 毛利
下の句が怖いんだ。「わが身に迫る老いを忘れて」という。子どもが成長していく事を願うけど、その分、親は年を取っていっているわけでね。だから、老いへの過程なんですよ、成長するっていうのはね。
- 佐々木
そうですね。
- 毛利
でも、それぐらい冷めた気持ちで見た方がいいと思うんですけど。だから、僕もそういう感じで育児書を書いてきたんですけどね。……だから罪深い事をやっていますよ、僕も(笑)。
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