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平田 オリザさん
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日本語に近い言語を一つ習得しておきたいなと
- 平田
そうです。それは本当に、すごく意図的に。
前に、仏文学者の森有正先生が、「日本語は主語がよく省略されるので、日本人は主体性がなくて自己主張ができないんだ」っていうことをエッセイでお書きになっていたことがあります。これは結構有名な話なんですけど。それに対して韓国の学者が、「そんなことはない。韓国語も主語を省略するけど、別に主体性がないわけじゃないし、東アジアの中で、もっとも自己主張が激しいじゃないか」っていうことを書いていて、これは一本取られたなっていう感じで。
それを高校生の時に読んでいて、これは英語とかフランス語だけを勉強しても、日本語のことはよく分からないんじゃないかと思って、日本語に近い言語を一つ習得しておきたいなと思ったんですね。
- 佐々木
その前に、フランス語をやっていらっしゃったんですか?
- 平田
いや、フランス語は、ほんのちょっとですから、別に、今もしゃべれないんですけど。
- 佐々木
でも、フランスで劇を……。
- 平田
だから、あれは、いんちきなんですけど(笑)。
- 佐々木
私、やっぱり、こういうニュアンスまでも、フランス人の俳優さん達にお教えになるというのはすごいことだと、拝見していました。
- 平田
それは、ものすごく役に立っていますけれどもね。だから、何が通じて、何が通じないかっていうことは……。やっぱりフランスでは、演出にも関わるので、説明をしなきゃいけないんですね。要するに、柿なのか鐘なのかっていうのを、僕の戯曲だから曖昧なんだけれども、なぜ曖昧なのかを説明しなきゃいけない。それは、フランス語の通訳が入りますから。
- 佐々木
そうなんですか。私は韓国語に行かないで、大学の時には英語で中国語を学んだんですけど、今のお話を聞いて、韓国語にも興味を持ちました。
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