ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第10回 藤田正美さん

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藤田正美さん
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OJTで学んだ英語
- 佐々木
ニューズウィークでは、いきなり編集長?
- 藤田
まさか。副編集長の前のデスクのようなポジション。前職のキャリアもあったので、経済もののデスクという感じでしたね。
東洋経済でまるっきりドメスティックな生活してたじゃないですか。外国人に取材するっていうこともなかったし。英語も話せない。ニューズウィークだけに、英語の電話がかかってくる。“Hello”とかかってきた途端に、「ちょっと待て」と言うような人間だったわけだから。とにかく、社内で回ってくる企画のメモっていうのは、全部英語なわけですよ。ニューヨークで打ち出したものが来るわけだからね。そうすると「う、これはやばい」(笑)。読むのに時間がかかっちゃうし、読んでもよくわかんないし。そんな生活を続けてきて、今はまあ、大きな顔してやっていますけどね。
- 佐々木
そうすると30代半ばから英語も勉強しながらですよね。それはどこで習得されたんですか?
- 藤田
「読む」のはもう完全にOJTですよ。アメリカ人のスタッフがいて、日本語も英語も上手だから、わかんないときはそこに直行。そこでとにかく、聞く。うるさいと言われるくらい聞きに行く。「どうして?」「なぜ?」「どうしてこう言うの?」と、もうそれの繰り返し(笑)。
- 佐々木
読んだり書いたりするのはOJTで習得したということですが、聞いたり話したりするのは?
- 藤田
それは、佐々木さんと同じ四ッ谷の日米会話っていうところで習得しました。それから、ニューヨークにトレイニーとして送られた時は、先生一人、僕一人で、1日5時間週5日、4週間ぶっ続けの特別コースに通いました。
会社が払ってくれたんだけど、アメリカで英語のコース取ると、割に安いじゃない。それでとにかく毎日5時間、英会話学校に通って訓練して、昼間会社に行ってちょっと仕事して、それからまた午後英会話学校に行って、夕方会社にまた戻ってという生活を4週間。だから100時間。
- 佐々木
やっぱりそれで英語力がグッと上がりました?
- 藤田
少なくとも自信はつくんですね。で、ボキャブラリーテストとかグラマーテストとかってやるとさ、並のアメリカ人よりできたりするじゃない。特にボキャブラリーって、『ニューズウィーク』をずっとやってるからすごく多いわけですよ。問題はリスニングコンプリヘンションでしたね。
そういうのをやってるうちに自信はつくんだと思いました。あと、鴨長明の『方丈記』を英語で説明しましたね。もちろん出だしの一節だけですけど、あれは結構おもしろかったです。「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」これを説明しろって(笑)。今は言えっていったって言えないけど、その時に夢中になって説明したんです。で「わかった」と言ってくれた。彼はカナダ人のアクターで、日本の文化とか、畳なんかに興味があった人で。そうすると『方丈記』を説明して、それから『四谷怪談』を説明して、なかなかおもしろかったですよ。自分が持っているものを説明するというのは、話す訓練としてはすごくいい。
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