ホーム > 佐々木かをり対談 win-win > 第10回 藤田正美さん

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藤田正美さん
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知的好奇心こそが大切
- 佐々木
20代、30代の方たちに、わたしとしては何となくもうちょっと、新聞読んで自分のことのように考えてみる機会があってもいいんじゃないの、って偉そうに思ったりするんですけどね。久米さんが以前言ってたと思うんだけど、新聞で書いてあることは、結局いつかは歴史の教科書に載るわけで、今日のこの現実と新聞と歴史の教科書って一体で社会とつながっているんだけど、そういう感覚が薄いのではないでしょうか。
- 藤田
僕が大学で学生運動やった中でね、ずっと考えていたことっていうのは、世の中を理解したいということなんです。世の中ってどう動くのかと。なぜこう動くのかと。じゃあこれからどうなるのかと。なぜ今までこうやってきたのかとか、そういうことを理解したいと思ったの。
理解する手段はそれこそいっぱいあって、たとえば経済学、政治学、社会学。理解に至る道筋っていうのは何でもいいと思う。物理学でもいいと思うんですよ。かっこよく言えば知的欲求。それがすごく重要だと思う。
知的欲求っていうのはこれは果てがなくて、計算の答えを解くのとは違うから。はいこれが答えですよ、解き方はこうですよ、って言っておしまいになるわけじゃないんですよ。
世の中ずっと動いてるからね。常に疑問は出てくるし、「これはこういうことだったんだよな」というふうに考えていた答えは消えて、役に立たなくなる。そうすると、また新しい答えを探す、となるじゃないですか。
そういう気持ちを持ってほしい。理解してほしいし、理解するように常に努力してほしい。
それがやっぱり若い人に対するお願いですよね。話を聞いてて何か言っても「ほんとにわかってんの?」と聞きたくなるじゃない。あまりに表面的なところだけでモノ言ってると思うとね。
- 佐々木
それは、訓練できるんでしょうか?
- 藤田
いや、やっぱり知的欲求っていうものは訓練じゃなく、みんなもともと持っているものでしょう。わかりたいとか、知りたいとか、いろいろあるじゃないですか。つまんないことなのに、みんな一生懸命知ろうとしてるじゃないですか。
- 佐々木
そうですね。携帯電話の機能とかね(笑)。
- 藤田
そう。なぜ携帯電話はこういうふうに動くのか。つまり、今の子どもたちって、携帯電話も含めて、そういうことを知ることに対しては極めて熱心。
でもそれがちょっと先にいっちゃうと、もうそこで知的欲求の扉を閉めちゃう。星がどうして生まれるか知りたいと思わない? どうして海に水があるか知りたいと思わない? そういうところが大切だと思うんですよ。社会でも、なぜトヨタ自動車が強いのか、とかっていうのと大して変わらないんですよ。同じことなの、みんな。
で、なぜトヨタ自動車が強いのか、なぜ日産はゴーンで立ち直ったのか。知りたいと思わない? 勉強してみれば、そこに何かヒントがあるかもしれない。
そんな、「なぜ?」という気持ちをいつも持っていてほしいと思うんですよ。
だから、論理がすごく大切です。
たとえば、ゴーンさんの本を読んで、論理的にそれが納得できるかどうか、っていうことを自分で考えてもらいたい。そしたら借り物ではない自分の意見が持てるし、発言できる。それを読んだだけで止まっちゃうと、ゴーンさんはこう言ってたよね、と、話はそこで終わってしまうから。
でも重要なのは、ゴーンさんがこう言ったことに対してどう考えているかということ。
知的好奇心。とにかくそれがすごく重要だと思いますよね。
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