■ 遊びのスペースも年齢ごとに充実
連携教育のベースとなるのが、0歳児から5歳児までのカリキュラムデザイン。各年齢に適した体験を十分に促す「発達の保障」を、園内のすべての環境・施設や教材に取り入れています。
「発達に応じた環境づくりは、子どもたちの意欲的な活動のモチベーションにつながります。例えば、砂場も、年齢層に分けて作っています。同じ砂場遊びでも、1歳児は手のひらで砂に触れたりたたいたりして保育者と楽しみ、3歳児は山を作ったりトンネルを掘ったりする。だから、好む砂あそびのやり方が違ってくるんです」(大竹園長)
夏の水遊びの教材も、各年齢ごとにねらいを持って作られました。水に親しむための0歳児の教材は、穴の空いた透明のホース。水に興味を持ち始めた2歳児は、色水を作ってビニール袋に移す遊びを自分で何回も繰り返す中で、輪ゴムをつけてヨーヨーを作ることに発展しました。
「2歳児の知的好奇心を考え、水を絵の具で染めて変化する様子も取り入れようとスタッフが考えたんです。2歳の子どもたちの色に対する驚きと喜びは、保育者の予想以上だったそうです」(大竹園長)
そして、こうした体験の中で、自分なりに考え試しながら繰り返し、様々な経験が積み重ねられ、スクリューで動く船を楽しむ5歳児の姿へとつながっていきます。
■ 子どもたちの五感を招く「もりの道」「荒木田の築山」「にこにこ通り」
「そもそも保育園を併設することになって真っ先に浮かんだのは、これまでとはまったく違う環境を作る必要がある、ということ。保育園児は1日12時間も園内で過ごします。しかも、散歩で外に出たりすると、都会では危険も多い。そこで、園の中を散策するだけで、歩く体力もつき、感じる心も研ぎ澄ませる環境ができないかと考えるようになりました。子どもたちが自分の興味あるものを発見しやすい環境、そして自然を取り込み、自然と関わることの出来る環境。子どもたちの感性を刺激する環境があれば、子どもたちは自発的に動き出します」(大竹園長)
「もりのみち」は、隣接する中学校との境界道を有効に使おう、という先生たちから生まれたアイディアでした。
「雑草が少し生えていた程度の道が、砂利やレンガや飛び石、チップなど、変化に富んだ素材を敷き、木や草を植え、むくげの木でトンネルを作ったりして、五感を招くフィーリングロードに生まれ変わりました。子どもたちは、足の裏から素材の特徴を感じ、花の色や香りの違いに気づき、いろいろな虫たちの存在を知る。ここを何回も回遊して発見を楽しむなど、子どもたちの大好きな道になりました」(大竹園長)
また、園庭にある「荒木田の築山」にも、こだわりがあります。
「子どもたちが泥遊びを楽しめるようないい泥が、今はなかなかないんです。だから、泥ダンゴが作れるような泥を、わざわざ地方から取り寄せて盛り土を作りました。」(大竹園長)
毎日登園時に親子で通る「にこにこ通り」は、池・小川・虫を呼ぶ草木など自然に親しむ工夫のある環境になっています。ここは中学生との交流活動にもつながっています。
二葉すこやか園のこのような独自の試みがなぜ出来たのでしょうか。幼稚園が「認定こども園」のモデル園となり、園についてゼロから考え直す機会を得たことが大きかった、と大竹園長は語っています。また、試みた新しい取り組みを研究発表の形で発表する場を得られたことも、スタッフの求心力に大いにつながったと言います。
新しい園の魅力に真っ先に気づいたのは、園児の保護者たち。園の先生たちの取り組みに保護者の共感が得られ、協力を得られたからこそ実現できたそうです。「ここは、幼稚園児・保育園児、両方の子どもたちの親、中学生までもが自然に集う大切な都会の“ひとだまり”です」(大竹園長)
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