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第1回 フジ子・ヘミングさん


第1回 フジ子・ヘミングさん
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夢と現実の違いをしみじみ感じた留学時代 |
留学の夢は果たしたものの、フジ子さんにとって、がっかりすることの連続だったそう。29歳という年齢だったことも、ひとつの原因だったと彼女は言う。夢と現実の違いを切実に感じることが多い年代……。私も思い当たることがある。 |
「29歳くらいになると、自分がどんどん大人になってきて、若いときに夢見たことがだんだん叶わないと感じ出して、失望したりすることが多いんじゃない? 男の人も、そばにいるのは夢見たような男じゃないな……なんて思ったりね(笑)。賢い人ほど、それがあるんじゃない? 夢見てたヨーロッパだけど、行ってみてがっかりすることが多かった。日本で私の周りにいたのは、同じような環境に育った、わりといい家柄のお嬢さんが多かったんだけど、ベルリンでそばにいた友だちは、日本人はたったの十人くらいで、いろいろな人がいた。だから、最初は好きでもないのにいっしょにいなければならなかったの。私の足を引っ張ろうと嫌がらせする人もいたのに。まず、そんな環境にとてもがっかりしていた。日本にいたときは、私のことを思っていてくれた親友がいっぱいいたのに……と過去を振り返ったりしてね。それで思い切って一人でウィーンへ行っちゃったんですよ。でも、人恋しかったせいか、さっぱり訳のわからない男の人たちと付き合っちゃったりして、めちゃくちゃだった」
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大胆な告白に、私はドキッとした。初めて聞くフジ子さんの恋愛話は、このあとも続いた。
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「あらゆる民族の人と付き合ったわね。私はやたらに男の人を好きにはならないんだけど、あの時期はいろんな人と付き合った。ばかだったな、もっと一生懸命勉強すればよかった……って、今振り返ると思うわね(笑)。でも、彼らはほんと気のいい人ばかりで楽しかった。もちろん「なぁんだろ?」って思う人もいたわよ。こうやってモテていると、かえって、「コレ!」という人が見つからないのよね」 |
30歳前後は、結婚についても悩む時期……。結婚は考えなかったのだろうか。
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「結婚したいと思う人もじつはいたわよ。新聞記者の素敵な人だった。あっ、ほかにもいっぱいいたわね。私はいつも三人くらい同時に好きな人がいるのよね。一人に決められない。だから、結婚しなかったのかな。でも、結婚しなくてよかったと今は思っている。食べていくのが心配だから、安定したいから結婚したいという人がいるけど、結婚はあせってしないほうがいいと思うわ。迷うくらいなら、しないほうがいい。結婚相手が出てこなかったら、出てこなかったでいいわよ。たとえ、一人でボロを着て貧乏をしても、変な結婚はしないほうがいいですよ。そりゃ、さびしいって思ってしまうときもあるけどね」
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ついでに、フジ子さんの好きな男性のタイプについてうかがった。 |
「すごく繊細な感じの人かな。去年は、名前も知らないホテルのボーイを好きになったわ。あまりタイプはないってことね」 |
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