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政治の市場原理への介入には矛盾
構造改革の文脈の中で、「官ではなく民の力を」「市場原理を導入して」などよく言われる。しかし、その市場原理の導入を政治主導で行う、というのは矛盾しているのではなかろうか?
消費というは習慣です。これまでは将来設計ができたから、安心して使っていたんじゃないですか。それが構造改革の「大手術」で、雇用システムがあまりに急速に壊れてしまった。こういったことは、構造改革ではなく、それこそマーケットに任せておけばよかったんです。
ところが、大蔵省の金融政策がよくないと言ってやめさせて、他に金融行政の大きな部局をつくるんですから、一体何をやってるのかさっぱりわからない。大蔵省の金融行政がおかしいんじゃなくて、大蔵省の特定の人がおかしかっただけです。直すのだったらもうそれだけ直せば良かったんです。
だけど、「マーケットに任せろ」とか言う人に限って、政府の力をものすごく強くしようとする。結果、自由なマーケットを目指して、強権を発動するというとても逆説的なことになってしまう。不良債権にしても、本当に市場に任せるというなら、処理は勝手にやらせておけばいいんです。
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