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救済システムのないリストラが消費を低迷させる
日本企業の特徴であった終身雇用制もあっという間に捨てさられてしまった。しかし、終身雇用の崩壊やリストラの導入がはたして日本経済を活気づかせるものなのだろうか?
終身雇用というのは、「信頼」のシステムでした。よく「信頼しすぎると生産能力が低くなる」と言われるけれども、じゃあなぜ日本経済は高度成長したのか説明してほしい。なのに、暗黙の約束とされていた終身雇用を反故にして、そのままクビにするというリストラまで始めてしまった。雇用制度をもっと競争的にするというのなら、とりあえず賃金を能力給にするだけでよいのに。
今までは、「リストラをしない」という約束があったから、「単身赴任しろ」という命令でも従った。そこには、単身赴任の後に昇進させてポストをあげますよ、という暗黙の約束があったからです。今はもう、それを誰も信用しない。なのに、社長さんたちは「社員のロイヤリティがなくなった」とか言っている。当たり前ですよね。自分たちから裏切ったんだから、社員が忠誠心をなくすのは。
もし、リストラをするのであれば、それに即した社会制度や文化の基盤が必要だったんです。アメリカなら、リストラになったらなったで、それを救うようなシステムがたくさんある。でも、日本は救済システムが何もないところでリストラをしてしまった。だから、みんなショックを受けて消費しなくなるのは当然なんです。
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