7/15 
新しい出会いのために
なかなか出会いがないという声をよく聞く。松本さんの著書『別れの美学』(幻冬舎文庫)には「自分が本当にやりたいことを一生懸命やっていけば、見てくれる人がきっと出てくる」とあるが、新しい出会いを見つけたり、新しい恋愛を始めたりするためのコツはあるのだろうか?
わたしも独身のころ、「出会いがない、出会いがない」と言っていた時期があって、編集者の人に「松本さんって、気楽に電話かけられる男友だちいないでしょう」と言われたんです。考えてみると、色恋抜きに、気楽に電話したり、ご飯食べに行ったりする人がいないなと、気が付いたんです。
「それなら、ただの男友だちを10人作ったら」と言われて、それからは気が合いそうな人に会うと、「友だちになりませんか」と言ってました。まあ、さすがにこんな不自然な言い方はしませんでしたけど……、友だちを増やそうと心がけました。後でこの話を編集者の人にしたら、「あら冗談で言ったのに」と言われて(笑)。でも、大人になると、新しい友だちを作る努力って、あまりしないんですよね。ハッとさせられました。
で、結局、友だちは5人しかできなかったんです。友だちというより、知り合いという感じでしたが、でも、みんな面白い仕事をしている人たちです。のちのち、結局はその中の1人と結婚しました。再婚です。最初は友だちで、電話番号も知らず、たまにメールをやりとりするだけだったので、初めてご飯でも食べに行こうかという時、待ち合わせをしたんですが、顔がうろ覚えだった(笑)。会ったことが1回しかなかったもので。
自立というとなんとなく孤独なイメージがあるかもしれないけれど、自立は、孤立じゃないんですよ。精神的に自立している人は、いろいろな友だちができる可能性があると思います。だって、相手の痛みも、つらさも、迷惑もわかる大人ですから、思いやりがある。自立というのは、必ずしも一人で暮らすことでもないし、人から孤立することでもないんです。
7/15 