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特別講座 講座リポート『赤毛のアン』の英語セミナー3

講座の詳細

松本侑子10年以上『アン』シリーズの翻訳と研究を手がけている作家・翻訳家の松本侑子さんと、楽しみながら英語を学ぶ『赤毛のアン』英語セミナー。『赤毛のアン』を原文で読み、英語で小説を読む面白さを実感できるだけでなく、今まで知らなかった背景を理解し、作品の新たな魅力が発見できると、毎回、大変な反響をいただいております。  今回、特別版として「2003年春のレッスン」を開講。「アン、リンド夫人、マリラ……3人の女たちの温かい友情」をテーマに、女性3人の心の交流を味わう3回シリーズです。

第3回 2003年3月29日(土)

『赤毛のアン』英語セミナー「春のレッスン」も好評のうちに最終回を迎えました。季節にぴったりの桜の花の着物をお召しになった松本さんとともに、受講生の方がさし入れてくださった手作りのココナツマコロンと紅茶をいただきながら、初春の午後のひとときを過ごしました。

■『アン』の世界を歩きながら身に付いた、英文を読む楽しさ

松本侑子今回は、第10章『アンのお詫び』を3つのパートにわけて読みました。まず1)リンド夫人に癇癪をおこしたアンを心配するマシューの気持ち、2)アンがリンド夫人の前で、大げさに懺悔するユーモラスな場面、3)リンド夫人に許されたアンがマリラと家路につき、マリラが生まれて初めて母性愛に目覚める感動的な場面を、一文ずつ読みました。リンド夫人、アンの独特な台詞回しの妙を、先生の表現豊かな朗読によって、生き生きと味わうことができました。また今回の文章に出てくる仮定法の文法についても説明がありました。

先生からは、「モンゴメリは、アンの大げさで芝居がかったお詫びのおかしさを盛り上げるために、台詞だけでなく、地の文章にも、文語調の単語をいくつも使っています」と具体的な単語をあげて補足説明がありました。日本語でも、『〜でござりまする』などという文語体が小説に入っていると、なんとなく滑稽な雰囲気が醸し出されるように、『アン』でも、モンゴメリは文語調の英語をまじえることによって、ユーモラスでおかしみのある文体を工夫しているそうです。
「春の講座はこれで終了ですが、3回のセミナーの通して、最初はむずかしく感じられた英語の小説が、かなり読めるようになったと実感されていることでしょう」という先生の言葉に、受講者のみなさんもうなずいておられました。

■作品の奥の深さを再認識する「引用」

アンが不面目なお詫びを愉しんでいることを指して、モンゴメリは“enjoying her valley of humiliation”(屈辱の谷を楽しむ)と書いています。この“Valley of humiliation”(屈辱の谷)は、英国のバニヤンの寓意物語『天路歴程』で、主人公が、信仰の弱さを悪魔に非難される谷のことです。モンゴメリは、子どもの頃から『天路歴程』を何回も読んで育ったことを自伝『険しい道』に記しています。また、『アン』シリーズが少なからず影響を受けているオルコット作『若草物語』でも、『天路歴程』の事物が随所に見受けられます。モンゴメリは、自分自身の読書経験に加えて、『若草物語』からも間接的に『天路歴程』に感化されたのではないか、と松本さん。アメリカ大陸へわたった新教徒たちは、あらゆる誘惑に打ち勝ち、身を慎み、質素を心がけ、勤勉に働くことを美徳としています。『天路歴程』の根底に流れるキリスト教の思想は、長老派教徒として登場する『アン』のマリラやマシューの考え方、行動にもにじみ出ているのです。

■『アン』の人生にも影を落とした戦争

松本侑子講義の終わりに、「イラク戦争」にちなんで、カナダの軍事行動についてのお話もありました。イラク戦争でカナダは、隣の米国とは違って、出兵しませんでした。カナダは、国力の差で米国に吸収される懸念もあって、米国が英国と戦った独立戦争の時も、その後の戦争においても、おおむね米国とは異なる立場をとってきました。昨年公開された映画『アンの結婚』の原作である『アンの娘リラ』(アン・シリーズ第8巻)は、第一次世界大戦で、アンの息子3人がカナダ義勇兵として、ヨーロッパ戦線に出征する物語です(これに対して米国は、モンロー主義の立場から、当初は出兵しませんでした)。また『アンの愛情』(アン・シリーズ第3巻)では、英米の海戦で命を落とした若い海軍兵の墓でアンが慰霊をします。このようにアン・シリーズは歴史的な史実をまじえた大河ドラマという側面も持ちあわせているのです。

受講生のみなさんが一堂に会し、先生を囲んで記念撮影をして2003年春の講座は終了しました。
名残惜しそうな受講生のみなさんにはまさに朗報であろう、次回のレッスンの告知が先生からありました。秋のレッスンが10月に開催され、アンの学校生活、アンとギルバートとの関係(!)の章を読むそうです(10月4日(土)、11日(土)、18日(土)の全3回コース)。「春のレッスン」で心に穏やかな春を届けてくださった松本さんと、しっとりと色づく秋の訪れとともに再びお会いすることができそうです。

第2回 2003年3月15日(土)

作家・翻訳家の松本侑子さんによる原書の朗読と訳を通して、作品を味わいながら英語を楽しく学ぶ『赤毛のアン』英語セミナー。特別版「春のレッスン」の2回目となる今回は、盛況だった1回目の余韻が残る和やかな雰囲気に包まれながら、テーマになっている女性3人が初めて一堂に会する第9章を読みました。

■直訳・和訳・翻訳の流れ

松本侑子第9章「レイチェル・リンド夫人、呆れかえる」は、歯に衣着せぬ言動をするリンド夫人、そんな夫人に外見をけなされて食ってかかるアン、アンが悪いと知りながら思わずアンを弁護して身内の本音が出てしまうマリラ。松本さんは3人のパートを見事に読みわけて朗読され、それぞれの豊かな個性を描きわけた著者の文章テクニックを詳しく解説してくださいました。また、リンド夫人の無遠慮で辛らつな台詞を例にして、通常の会話学習では接する機会の少ない、人に言っては失礼にあたる言葉づかいも教わりました。

ところで、リンド夫人がアンの赤毛を“redheaded”と罵った場面に関連して、“Anne of Green Gables”の邦題『赤毛のアン』(Redheaded Anne)について、松本さんから興味深いお話がありました。日本人の感覚では、「主人公は、かわいい赤い髪をした女の子」という親しみをこめた愛らしい邦題ですが、海外では「本人が気にしている身体的特徴を強調したタイトル」と理解されることもあるそうです。アンが赤毛を嫌う理由は、金髪や黒髪が美しいとされた文化的背景に加え、キリスト教における赤毛の悪いイメージにあると、松本さん。新約聖書では、キリストを裏切って為政者に渡したイスカリオテのユダが赤毛、旧約聖書では弟アベルを殺した嫉妬深い兄カインが赤毛で、赤毛の人間は信用がおけない裏切り者と見なされる宗教的風潮もあったそうです。ちなみに実際の「赤毛」はカボチャの実のような濃いオレンジ色とのことでした。

英語を日本語に訳す「邦訳」には、英語の構文と語順のまま訳す「直訳」、普通の日本語らしい文章にする「和訳」、もっと日本語としてこなれ、意訳や文学的な表現も使う「翻訳(翻って訳す)」という3つの段階があると松本さん。今回の講座では、英語の構文と文法を説明するために、まずは「直訳」と「和訳」を紹介しますが、「自宅に帰ったら、ユーモラスな描写を楽しみながら音読して、その後、自分で翻訳文を書いてみてください。読むだけでなく自分で訳すと、より英語力が身につきますよ」とアドバイスをいただきました。

■松本さんのお話を聴けば聴くほど、『アン』を知りたくなる

松本侑子今回も、ティータイムに、松本さんがすてきなお菓子をご用意してくださいました。『アン』に引用される詩人の家を訪ねて英国を車で取材する時のお供にしているという、スミス・ケンドンのキャンデー。アンがお茶会で、ラズベリージュースと誤って、ダイアナにスグリの果実酒を飲ませてしまうエピソードにちなみ、ラズベリー味でした。もう一つは、スコットランド伝統のバター菓子ショートブレッド。グリーン・ゲイブルズ一家がスコットランド系であるせいか、アンは「思い浮かべただけで、つばが口にわいてくる」ほどの大好物と『アンの青春』に書かれているそうです。スコットランドもプリンスエドワード島も寒い土地なので、バターたっぷりの濃厚な風味が好まれるのでは、とのことでした。

講義終了後は、会場で販売された松本さんのアン関連書にサインを求められる受講者の方々の列ができました。長年、研究を続けられ、原作への愛情溢れる松本さんの『アン・ブックス』の数々は、魅力的な『アン』の世界へのパスポートなのでしょう。

第1回 2003年3月1日(土)

■人生における苦しみが描かれてこそ、優れたユーモア小説ともいえる

原書の読解に入る前に、松本さんから、3つのアドバイスがありました。
『赤毛のアン』は、ユーモア小説なので、まずは楽しい気持ちで読むこと。優れたユーモア小説とは、全編に溢れる喜びや笑いの中にも、人生の不可避の4つの苦しみ「生・老・病・死」を見事に描いた作品であり、『アン』も同様であること。つまり育っていくアン、老いて病を得ていくマシューとマリラ、そしてマシューの死が描かれ、しかしその合間に、人間的な笑いを盛りこんでいるとおっしゃっていました。 また長い英文は、構文を考えて、節に区切って構造をつかむことと。さらに小説は、登場人物の動き、姿、心理を具体的に思い浮かべ読むことが大切と、強調されました。

■原文を深く読み取るほど、物語の世界に入り込める

松本侑子第1回目に読んだのは、第1章「レイチェル・リンド夫人の驚き」。世話好きの隣人リンド夫人が、初老の兄妹マシューとマリラが孤児を引き取ると知り仰天する、物語の導入部分です。
2002年夏や秋の講座と同様に、松本さんが英語を一文ずつ音読し、文法と熟語を説明しながら、訳されました。冒頭の文章は、かなり長くて複雑な文章だったにもかかわらず、文節に細かく切りながらの解説、そして松本さん手作りの単語帳で、受講者のみなさんも、スムーズに読解を進めることができたようです。また、グリーン・ゲイブルズの生活の堅実さを食卓の小さなリンゴがあらわしていること、リンド夫人の精力的な人物像は当時のカナダ女性がおかれた社会状況が反映していること、編み物の「キルト」、マシューの礼装について、資料とともに解説されたことで、理解もいっそう深まったようです。 質疑応答によって学んだことを確認するフィードバックの場が設けられ、英文の大文字表記などについて質問が活発に飛び交いました。

■『アン』がくれた新しい出会い

途中のティータイムでは、松本さんご持参のお菓子をいただきながら、受講者のみなさんの自己紹介がありました。初めての方や英語のブラッシュアップが目的という方もおられましたが、3分の1以上を占めたのはプリンスエドワード島を訪れたことがある『アン』ファンの方々。中には松本さんの著書がきっかけだったという方も多く、受講者のみなさんにとって、松本さんは、まさに『アン』の世界への道先案内人なのでしょう。その松本さんから、ご著書のプレゼントが、全員に手渡されました。
さまざまな形で一つの文学作品と出会い、魅せられた人たちが、その作品を介して出会う、すてきな機会になったようです。



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