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2つのループでどんどん落ち込む日本の消費
最近の物価や株価、失業率を見ても、日本経済にプラス材料は見当たらない。多くの経済学者や評論家は「構造改革の推進」「不良債権の処理優先」を主張しているが、森永さんはそれに対して異論を唱える。そんな森永さんに、デフレが私たちの生活に与える影響を聞いた。
日本経済は完全なデフレ・スパイラルに入ったと思います。デフレ・スパイラルとは、物価の下落と、消費・需要の減退とが連鎖して、経済が縮小していくことで、基本的に2つのループがあります。
消費が減って企業の売上が減るのが1つ目のループ。仕方なく企業は叩き売りに出る。叩き売りに出ると、モノの値段が下がる。すると待てばもっと安くなると思って、モノを買わなくなる。こうした消費の先送りで、ますます売れなくなり、ますます叩き売りに出る、というものです。
また、売上が減ると雇用に手を着ける。賃下げやリストラをする。するとリストラをされた当人だけじゃなくて、周りも「これはやばいぞ」と貯金を始める。そうやって、みんな消費をしなくなる。消費しなくなると企業の売上が落ち、またリストラを強化する、これが2つ目のループです。
この二重のループでどんどん落ちていくのがデフレ・スパイラルで、今の日本はまさにそういう状況になっている。「底を打てば上がるんだ」と思うかもしれないが、底なんかない。月給1万円の中国と並ぶくらいの賃金水準になれば底を打つかもしれないけど。だから、とんでもない崖の底に落ちていく、というのが今の状況なんです。
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