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成長がわかる、蓄積がわかる経済成長
著書『「消費不況」の謎を解く』(ダイヤモンド社)で、「買う」「持つ」だけの消費から、「使う」ことへの転換の必要性を説く松原さん。まずは、「使う」ことを重視する社会が、今までの右肩上がりが最優先の社会とどのように違うのかを聞いた。
「成長をやめること自体を目的にしろ」「右肩上がり自体がダメだ」と言いたいわけじゃないんです。社会はある程度は成長したり変化したりする必要はあると思う。でも、これまでは成長と思えないような成長、ひょっとしたら改悪だった可能性のあるような成長をしてきたのかもしれない。右肩上がりが最優先というのは、企業側にとって一番いい。毎年毎年、新製品を買ってもらえるわけですから。たとえば、住宅についてもスクラップ&ビルドやら補修やらをして、右肩上がりをやってきた。木造だから日本家屋はすぐに建て直さなきゃならないんだって言って、どんどんセメントやモルタルの悪いやつにしていったわけです。
やはり、こんなことは文明の名に値しないと思うんです。表面的な成長でなくてもっと実質的に成長がわかるような、きちんと蓄積を感じられるようなものにしたほうがいい。つまり、「右肩上がりの質」の面に注目しろと言いたいわけです。
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