<3ページ目からの続き> ……「大みそかに放送された第56回NHK紅白歌合戦の平均視聴率が2日、ビデオリサーチから発表され、関東地区では、前半(午後7時20分〜午後9時25分)は35.4%(2004年30.8%)、後半(午後9時半〜午後11時45分)は42.9%となった。前後半とも前年を上回ったのは98年以来7年ぶり。NHKは『司会にみのもんたさんを起用するなど、番組全体を生き生きとした雰囲気に仕立て上げ、多くの視聴者から支持された』とのコメントを出した」
どうですか。事実関係だけを記述していますね。「番組が成功した」という趣旨のNHKのコメントは書いてありますが、毎日新聞社としては、紅白が成功だったかどうかは評価していません。読者の判断に任せているのです。
この記事を読むと、共同通信の記事の「視聴者から聴きたい曲を募集、民放で人気の司会者、みのもんたさんを起用したことなどが功を奏したようだ」という評価のコメントが、NHKが出したコメントをそのまま受け止めていることがわかりますね。記者の取材方法までがわかってしまうのです。
毎日新聞は、読者の判断に委ねています。これは、客観報道を原則とする新聞社として、大変正しい態度だと私は思います。しかし、その反面、この記事を読んだ読者は、「で、要するに、紅白は成功だったの? それとも失敗だったの? と突っ込みたくなりますね。新聞社が勝手な評価をしていると腹が立つけれど、評価をしていないと、新聞社の評価を聞きたくなる。読者というのは、勝手なものです。
たかが紅白であっても、いや、たかが紅白だからこそ、かも知れませんが、こうして各紙を読み比べると、新聞記事のトーンの違いばかりでなく、担当記者の「独断と偏見」で記事が生まれている場合の多いことがわかるのではないでしょうか。
新聞記事の読み比べには、こんな面白さ・楽しさがあるのです。
ちなみに、NHKの紅白の直接の担当者であるチーフプロデューサーは、男性ながら豊かな長髪で知られ、放送前に、「視聴率が50%を切ったら髪を切る」と宣言していたそうです。結果は、40%は超えたけれど、50%には達しませんでしたから、「公約」通り、髪を切ったそうです。
ここにもまた、「紅白」についての、もうひとつの「評価」がありました。
この原稿を書き上げたら、「イスラエルのシャロン首相重体」のニュースが飛び込んできました。次週は、中東問題を取り上げることにしましょう。
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