マーケティングについて実践的な理解を深めようという『実践マーケティング』。講師にお迎えしたのは、マーケティングのコンサルティング経験が豊富な、アーサー・リリーコンサルティング代表取締役・長田有喜さん。ケーススタディを交え、インタラクティブな講座になりました。
■「マーケティング」って何?
企業はプロダクツを販売し収益を得て成長します。それをバックアップするのがマーケティングです。長田さんによると、「広義のマーケティング」とは、リサーチからはじまり、企画開発、生産、ロジスティックス、販売、広告・PR、セールスプロモーション、そして結果をリサーチし次期の企画開発に向かうという循環を指すとのことです。
マーケティング理論の中で、「マーケティング4P(Product,Price,Place,Promotion)」という概念があり、近年はそこに新たなPを加えることがあるそうです。長田さんは、心理的要因(サイコグラフィックPsychographic)を足した5Pという考え方を事例をあげて紹介されました。
■リサーチの方法ですべてが決まる
長田さんはマーケティングの第一歩であるリサーチについて、その方法を吟味してしっかりした調査設計をすることの大切さを強調されました。あいまいな調査設計では焦点がぼやけ、つまづくことになるからです。
また、属性別の定量分析や3C分析などデータの収集や結果分析の方法もあげられました。
そして実際に「20〜30歳代の女性向け携帯電話の開発担当としてリサーチプロジェクト企画立案」という課題に、長田さんと受講者で意見を交換しあいながら取り組みました。
■ヒット商品の秘訣は徹底したリサーチにあり
商品の企画・開発に際しては、顧客の属性やニーズで市場を細分化して、その中から商品のターゲットを選びます。
次に、同じカテゴリーの中で商品の位置づけをします。長田さんはここに成功の秘訣があるとおっしゃっています。既発の商品が集中していない領域に商品を位置づけることで、独創的な商品開発につながるというのです。
位置づけをしたら改めてこの商品を分析します。特に、Weakness(弱み)とThreat(恐れ)をカバーするStrengh(強み)やOpportunity(機会)を考えるという「SWOT分析」は、マーケティングに限らずさまざまな分野で有効なのでぜひ覚えていてほしいと長田さん。
ここでは、「ワーキングウーマン向けのシステム手帳の企画者としてマーケティング企画をたてる」という課題で理解を深めました。
■効果的な宣伝をするには
商品の売り込むために、まず独創的な訴求ポイント(USP)を決めます。それを顧客に向かって訴えるのが、広告と広報です。広報は広告媒体を購入することなくメディアに乗せて宣伝し、広告では、広告媒体を購入することで、宣伝を行います。この違いを明確にし、各メディアの特性を把握して、セールス・プロモーションとの相乗効果を狙いながら、広告と広報の両方を矛盾無く並行して行うことが大事とのことでした。
実践では、「新商品のマスカラの広告宣伝担当者として、広告宣伝企画を立てる」という課題を使って広告と広報の有効な方法を模索しました。
長田さんから、「今回の講座を通してマーケティングに親しみを持ってもらいたい」というコメントと、お薦めの入門書『通勤大学MBA(2)マーケティング』(通勤大学文庫、グローバルタスクフォース著、青井倫一監修、総合法令出版、2002年7月、ISBN:4893467573)をご紹介いただいて閉会となりました。
講座が終わってからは、受講者の方が個々に長田さんからのアドバイスを受けておられました。かなり実践的なお話だったため、今の会社で活用したいという意欲がわいた方が多かったようです。
関連情報
アーサー・リリーコンサルティングが運営する「モノづくりドットコム」