ewomanユニバーシティ第1期の人気講座、『赤毛のアン』の英語セミナー、続く第2期講座は、2002年の秋、全3回で開講されました。
■第1回「アンとマシューの出逢い」
アンとマシューが初めて出会う場面を、第1期の講座同様に、情感豊かな朗読を交えながら読解していきます。解説としては、原文に出てくる特徴的な文法のほか、カナダ文化の説明も織りこまれ、さらに、翻訳家の心構えについてもアドバイスがあるなど盛りだくさんの内容となりました。
休憩時間には、松本さんご持参のお菓子をいただきながら歓談。出席された方たちとの交流が、『赤毛のアン』を通して深まりす。
ミニトークの時間には、『赤毛のアン』第2章に引用されるキリスト教の愛の詩「サー・ローンファルの夢想」を例に、『赤毛のアン』に流れる慈愛の心について解説がありました。また受講者から、原文の引用の出所について質問があり、専門的な領域にも及びました。
■第2回「アンの喜はぜたいと願うマシューの優しさ」
松本さんのアイデアで、参加者のみなさん同士、楽しく交流を計れるように、名札を配布させていただきました。2回目ということもあって、講座が始まる前から、受講者のみなさんで楽しくお話しされていました。
今回のテキストは、マシューがアンのためにドレスを買いに行く場面とあって、パフスリーブ、ポンパドールヘア、バングルなど当時の服飾の知識が必要とされる文章が登場しますが、松本さんから、当時の生活習慣や服のデザインについて説明があり、色づいたプリンスエドワード島の世界が広がるように感じます。
講座の中では、マシューがアンにクリスマス・プレゼントを買おうと苦戦しますが、松本さんからも一足早いクリスマスとして、参加者のみなさん全員に、ご著書のプレゼントがありました。
■第3回「マシューとの永遠の別れ、マリラの愛の告白」
マシューとの別れの場面は、何度読んでも涙ぐんでしまうという松本さん。講座前日にも読み返して、思わず涙してしまったというシーンを中心に講義が進められ、マシューの急死の場面、またマシューの死後、のこされたマリラとアンがお互いの存在の大切さを確認し、2人で生きていくことを決意する感動的な英文を読みました。
ミニトークでは、天衣無縫な子どもアンを育てることによって、マリラが人間への理解を深めて成長していくこと、また著者モンゴメリは、人間的に豊かな感性を持った子どもの個性を認めることの大切さを、小説に盛りこんでいること、について解説がありました。また、30代になって読み返してみると、アンの成長物語という側面のほか、「育児小説」としてのおもしろさを再発見されたことなど、『赤毛のアン』の物語の奥深さについて触れていただきました。
講座の最後には、松本さんから「あらためてカナダの資料を調べたり、アンやマリラの気持ちを深く思い直す機会となり、とても有意義な時間でした」とのコメントが。また受講者の方々に、ミュージカル『赤毛のアン』の一場面に松本さんが日本語訳をつけた劇団四季のポストカードがプレゼントされました。
■参加された方々の感想
- 原文をひとりで読むと挫折してしまいそうになるが、大勢の方と一緒に、耳で聴き取りながら読み進めることができるので、とても楽しく講義が聴けます。
- 第1期に続き、2回目の参加です。本を読んでいるだけではわからない『アン』の背景などが理解できるところが気に入っています。
- 2回目の参加です。松本さんの朗読のすばらしさにひかれて受講することにしました。アンのセリフはアンが話しているかのように朗読してくれるので、アンを身近に感じることができます。
最後の講義では参加者の方からユニークな質問をいただきました。
Q.アンに対するギルバートの強い思いは、現代の男性から見ると、しつこいように感じるのですが?(男性参加者)
A.ギルバートは、それだけアンを心から好きだったとのだと思います。アンは大学時代に、ギルバート以外の男性からプロボーズをされますが、それでも彼はアンを待ち続ける。そこに女性読者は、ギルバートの一途な愛情を感じます。いろいろな方のご感想をうかがうと、男性心理と女性心理の違い感じられて、おもしろいですね。