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全額自分のお金で建てなければならないとなると、ムダづかいをしなくなるだろうという考え方です。
こうやって、国は1兆円分の財政負担を減らせるというわけです。「三位一体」というよりは、「一石二鳥」ですかね。
それでも、もし問題があれば、その分は、地方交付税交付金でなんとかしましょう、ということになります。
中央省庁は「総論賛成、各論反対」
この補助金削減4兆円削減の中に、「義務教育費国庫負担金」を8500億円減らすという計画も入っていたので、大騒ぎになったのです。
国が負担していた8500億円を地方に移すことに全国知事会などは大賛成。自分たちの手元資金が増えますからね。
一方、文部科学省は大反対。文部科学省管轄分のお金が8500億円も減ってしまうのですから。
この賛成・反対論に関しては、次回で説明しますね。
こうしてみると、「補助金を減らし、地方に税源を移す」という「総論」については、各省庁・地方自治体とも賛成するのですが、何を移すかという「各論」になると、反対論が噴き出すというわけです。
国の補助金を減らすということは、中央省庁がお金を使って地方をコントロールする権限が削られることになりますから、抵抗が強いのですね。
また、それぞれの分野には「族議員」と呼ばれる国会議員たちがいます。補助金をなるべく自分の選挙区に持ってこようと、「パイの取り合い」をしているのですが、肝心の「パイ」が減ってしまうことには反対に回ります。
こうして、補助金削減をめぐって、バトルが繰り広げられたというわけです。
結局、「義務教育費国庫負担」は、国の負担の割合を引き下げることで、とりあえず決着しました。次回は、この論議をたどることで、日本の教育を考えてみましょう。
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