子ども「ほっぽうりょうどって、なんのこと?」 わたし「あれっ、小学校4年生の社会科で習ったはずだぞ」 子ども「じゃあ、きっと、そのとき学校休んだんだわ」 私が担当していた「週刊こどもニュース」で北方領土問題を取り上げたときのこと。出演している小学生、中学生の子どもたちは、北方領土問題を知りませんでした。いまの学習指導要領では、小学校4年の社会科で必ず習うことになっているのですが。 私が小学生のころには、北方領土問題の学習は義務化されていませんでしたから、知らないままでもよかったのですが。さて、あなたは、いかがでしょうか? 学校で習わなかった年配の方、学校の授業を休んだ若い方の双方のために、今回は「北方領土問題」を取り上げましょう。20日にロシアのプーチン大統領が来日し、報道は北方領土問題一色の感がありますしね。 今年は「日露通好条約」150周年 北方領土というのは、国後、択捉、歯舞、色丹の4つの島のことですね。歯舞は、厳密に言えば数多くの島からなる歯舞群島なのですが、慣例で4島と呼ばれています。合計の面積は、千葉県とほぼ同じ広さです。 今年は「日露通好条約」が調印されてから150周年に当たります。この条約は、「下田条約」とも呼ばれます。ナントカ条約という名前が出てくると、もうそれだけで歴史の勉強のようになってしまい、頭が痛くなる人もいるでしょうが、要するに、日本とロシアが「お付き合いを始めましょう」と約束して150年たつという記念の年なのです。 このとき、日本とロシアの間の国境を確認しあいました。4島のいちばん北にある択捉島と、その北側にあるウルップ島との間に国境線を引いたのです。当時、択捉島までは日本人が住んでいたけれど、その先のウルップ島にはロシア人が住んでいたので、現状を確認しあったのです。【国境の移り変わりを地図で確認】 この条約により、ウルップ島から先の千島列島は、すべてロシアのものということになりました。 しかし、樺太(サハリン)に関しては、……
池上彰の 『解決!ニュースのギモン』